吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2030年ごろかも。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

アフタースクール


 観客を騙すことばかり考えて、ドラマが限りなく透明に近い薄さになりました。これではいかんやろ~。

 前作「運命じゃない人」がかなり面白かったので期待したのだけれど、これはとにかく観客を騙すことに力こぶを入れすぎて、それ以外の部分にはまったく目配り気配りがなかったところが致命的。確かに謎解きは面白かったし、騙されたとわかったら、もう一度最初から思わず見直してしまったし、そういう「力」のある作品には違いないけれど、「だからなんなの?」と、その薄さに脱力してしまう。

 この手の映画は、騙されて喜ぶ観客と怒る観客の二種類に分かれそうだ。わたしは騙されて喜ぶほうだけれど、トリック以外にもちょっとした台詞やカットで含蓄の深さを見せてほしかったのに、作家としての浅さを露呈してしまった。

 ストーリーはネタバレさせずに書くのが難しいのでさらっとだけ流しておこう。

 中学時代の同級生だと名乗る怪しげな探偵に、同級生の木村を捜してくれと強引に頼み込まれた中学教師の神野。探偵は同級生を名乗っているが実は別人であり、借金返済をヤクザに迫られてやばい仕事に手を出していたのだった。そんな事情も知らずに同級生木村捜索にいやいやながらもかり出された神野は、同じく同級生で木村の妻の出産に立ち会う。木村はどうやら浮気をしていて、愛人と逃げたらしいのだが…

 会社の不正を握っているらしい木村が失踪。しかも若い女と一緒のようだ。ヤクザの親分は借金返済を迫る。探偵は今日中に木村を捜さねば身の危険にさらされる。気の良い木村がまさか浮気を? 神野は教師らしくない教師で、優柔不断だが根が優しいのでつい木村探しにつきあって…。

 さて、いったい誰が誰に騙されているのか? 話は面白いし、脚本は確かによく練ってある。が、その練り方が単なるシチュエーションの面白さだけだったとしたら、この手の話で最後まで引っ張るのは難しい。なぜ同じような前作が面白くてこれがダメなのか、自分でもよくわからないのだが、前作を見直してみたら判明するかも。

 堺雅人の笑顔、相変わらずこの人はいつもニコニコ(にやにや)笑っているんですねぇ。で、この魅力的な笑顔にも騙されるからね。(レンタルDVD)

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アフタースクール
日本、2008年、上映時間 102分
監督・脚本: 内田けんじ、製作: 酒匂暢彦ほか、エグゼクティブプロデューサー: 藤本款、音楽: 羽岡佳
出演: 大泉洋佐々木蔵之介堺雅人常盤貴子田畑智子伊武雅刀