吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2030年ごろかも。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

サッド・ムービー


 四つの話が並行して語られる。「悲しい映画」なのだから結末はどれも悲しいに決まっているのだが、とりわけ病気の母を思う男の子の話には泣かされた。ほかの失恋話にはぐっとくるものが少なかったが、これだけはダメだ。母親の目で見てしまうからだろう、こういう話には弱い。やはり一途に母を思うのは男の子なのだろうか。母恋の少年という図は物語となるのか――

 四つの愛の終わりは、消防士とその恋人、消防士の恋人の妹とその片想いの青年、無職の若者と彼に愛想をつかす綺麗な恋人、母と小学生の息子、の四組の物語。消防士が「私の頭の中の消しゴム」のイケメン、チョン・ウソンなんだけれど、ちょっと太ってしまってキレがない。優柔不断でなかなかプロポーズできない気弱な感じが出ているかも。
 

 定職のない若者(『猟奇的な彼女』のチャ・テヒョン、情けない感じがとてもいい)がひょんなことから思いついた仕事が「別れさせ屋」(韓国語で「離別代理」と名刺に刷ってある)。別れたくてもなかなか相手にいいだせない人の代わりに別れ言葉を言いに行くという仕事で、これが意外なヒット。仕事もうまくいって彼女ともヨリを戻せると思ったんだけれど…。いやこれは面白いエピソードです。別れさせ屋とはよく考えたものだ。このエピソードのコミカルぶりはよかった。しかしそれ以外のエピソードはひねりがなさすぎたんじゃないかな。耳の聞こえない少女としがない似顔絵描きとの淡い恋なんて、ハッピーエンドにしたほうがすっきりする話なのに。

 というわけで、男の子が「オンマ、オンマ」(ママ、ママ)と泣く話だけは泣けたけど後はダメでした。わざわざ四つの物語を用意しながらそれらが有機的につながる醍醐味がなかったね。(レンタルDVD)

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韓国、2005年、上映時間 109分
監督: クォン・ジョングァン、脚本: ファン・ソング、音楽: チョ・ドンイク
出演: チョン・ウソンチャ・テヒョン、イム・スジョン、ヨム・ジョンア、シン・ミナイ・ギウ、ソン・テヨン、ヨ・ジング