昨日はモザイク(地域の国際交流をすすめる南河内の市民の会)の総会があった。総会のあとは、在日外国人を自宅に招いてホームステイしてもらった人たちの経験交流会。おいしいシフォンケーキに生クリームを添えて紅茶といただきながら(おお、なんとイングリッシュなティータイム!)茶話会のように話がはずんだ。
お話を聞かせてもらって、日本人男性と結婚して日本にやってきた外国人妻の孤独と子育ての困難さについて改めて知った。近所で言葉が通じないしんどさに加えて、子どもが大きくなってくると、こんどは母子がコミュニケーションをとれなくなる。思春期の子どもを抱えている母親は、子どもの日本語の訴えが理解できない。学校からの連絡プリントも満足に読めない。
日本語を勉強するしかないだろうってわたしは思うんだけど、日本語をボランティアで教えてくれる教室まで行く「足」がなかったりするそうだ。
厳しい状況にある人々のなかで、特に中国人や韓国人の経験が印象に残った。中国では、「家に遊びにいらっしゃい」と言われたら、それは社交辞令ではなく本当の招待だから、みんな何の事前連絡もなしに他人の家に遊びに行く。ところが日本では、うっかり「招待」を真に受けて訪問したりしたら、玄関先であしらわれてしまって、家の中に入れてくれない。
「玄関先では1時間も話するのに、家の中に入れてくれないんですよ」とあきれる女性もいた。
日本は敷居が高いらしい。なるほどなあ。うちだって来客があるというと大騒ぎして家中の大掃除を始めるのは常だから、やっぱり客を家に入れるというのは「非常事態」なんだろうな。
そういった日本の習慣がアジアの人々に不評だ。こういう「文化的な齟齬・摩擦」というものはなかなかなくならない。外国から来た人を疎外するのではなく地域の住民として受け入れつつも、やはり彼らにも日本の風習に慣れてもらわねばどうしようもない、と思う。「歩み寄り」という美しくも困難なことが実際自分の身に降りかかったときできるのだろうか、と思うとたじろいでしまう。
うちの近所の団地にS国人女性が住んでいるらしい。まだ二十代で、子どもも小さいらしいが、誰ともしゃべる相手がおらず、バスにも電車にも乗ったことがなく、夫以外の人との交流がないという。孤独な女性が気の毒だからなんとかしてあげたいとわたしも思うけど、さて何語でしゃべるんだろう? 正直言って、もし仲良くなってうちの家にいりびたられたら困るし。とか思ってしまうわたしって自分勝手な人間なんだろうか。でもなんとかしてあげたいという気持ちは強いから、ちょっと考えてみよう。
こういうときに、「他者の他者性」というものについて考えてしまう。日本人どうしだって気の合う合わないはあるのだ。困っている外国人だから、という理由だけでその人と仲良くなれるかどうか、助けてあげられるかどうかはわからない。こういうボランティア活動では、個人と組織とのかかわりが難しい。私生活まる丸抱えになるようなボランティアは続かないのだ。
ということろで、「他者」といえば、最近読んだ橋本治の本を思い出す。橋本治の本は二冊しか読んだことがないのでこれで結論づけるのは間違っているかもしれないが、この人の文体はわたしには合わない。ねちねちクネクネともったいまわった言い方で、しかもまどろっこしい。わかりやすいのはいいのだが、何度も同じことを言われるとしまいにイライラしてくる。
特にそう思ったのは『上司は思いつきでものを言う』のほうだ。上司は思いつきでものを言うって? そんなもん、別に上司でなくても人は誰でも思いつきでものをいうもんよ。え? それはわたしだけかしら(汗)。
この本は、「部下の建設的な提言は必ず上司の思いつきを招きよせる」とか「現場と出会えなければ会社は必ず枯れる」とか、けっこういいことが書いてあって、それなりにおもしろい。
でもわたしの好みにマッチするのは『人はなぜ「美しい」がわかるのか』のほうだ。
ゴキブリはゴキブリの都合で合理的にできていて、その姿は機能的に美しい。なんていう指摘にははっとさせられた。確かに。でもあれを美しいとはどうしても思えないけど、「他者」ってそういうことだよね。他者は他者の都合で生きているし、他者には他者のものさしがある。この本で、そう教えられた。
本書は、枕草子と徒然草との比較論があって、これがかなりおもしろかった。枕草子って、今で言えば酒井順子ふうかな? で、徒然草のことを橋本治はつまらない、と一刀両断する。清少納言が「時代の中に生きた美の冒険者」なのに対して、吉田兼好が「時代の中に生きなかった美の傍観者」だったのがその理由だという。
<書誌情報>
人はなぜ「美しい」がわかるのか / 橋本治著. 筑摩書房, 2002(ちくま新書)
上司は思いつきでものを言う / 橋本治著. 集英社, 2004(集英社新書)
Posted by pipihime at 21:48 │Comments(12) │TrackBack(0)