
これはまあなんと素直に作られたごく普通の感動物語なのでしょう。ちょっと恥ずかしくなるくらいにストレートなサクセスストーリー。だなんて、貶しているようだけれど、ラストシーンで思わず泣いてしまったわ。
ブラジルでは国民的人気を誇るという兄弟デュオ、ゼゼ・ヂ・カマルゴ&ルシアーノの伝記映画。
貧しい小作農の一家の主は音楽好きな働き者の父親。彼の夢は息子たちを音楽の道で出世させることだった。なけなしの金をはたいて7人きょうだいの長男にはアコーディオンを次男にはギターを買い与え、懸命に練習させる。最初のうち、どうしようもない音痴だった息子たちがどんどん上達していくのには驚きを禁じ得ない。それにしてもベートーベンの父じゃあるまいし、息子たちに無理矢理音楽をやらせたりして、たまたま才能があったからよかったものの、箸にも棒にもかからなかったらどうするつもりだったんでしょうねぇ。
こういう映画を見るといつも思うけど、こんな親の無理強いや親の思いが成功に結果したからよかったものの、もしどうしようもなくこれで子どもがぐれたり一家離散になったりしたらどうするのだろう? 息子たちの楽器を買うために穀物をすべて売り払ってしまった父親は地代も払えなくなって都市へ流れてくる。小作地を失った農民は都市に集まればスラムの住民にしかなりようがなく、下手をすればそのままホームレス、子どもはストリート・チルドレン。
とまあ、暗いほうへと考えは泳いでしまうが、そうなる寸前でフランシスコの息子達は親の苦境を見かねて二人、街に立つ。親を助けるために雨の中を重い楽器を持って出かける姿には涙がちょちょぎれるではないか。街角に立って歌う二人の姿に人々は足を止め、耳を傾ける。見よう見まねで置いた投げ銭入れにはみるみるうちに金が溜まった。目を輝かせる二人の愛らしいこと。やがて彼らに目をつけたプロモーターが二人を連れて巡業の旅に出るが…
この後、山あり谷あり悲劇ありの下積み時代を経て、フランシスコの息子たちはトップスターへと上り詰める。映画のラストでは本物の兄弟が登場してコンサート場面が映る。両親もステージに上り、息子達を抱きしめる姿を見て思わず涙が出てしまった。こんなに素直な映画も珍しいけど、これで泣かされるわたしも素直な人間だと自分に感動した(笑)。
男の子が頑張る映画に弱い人にはいいかもしれません。(レンタルDVD)
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2 FILHOS DE FRANCISCO - A HISTO'RIA DE ZEZE' DI CAMARGO & LUCIANO
ブラジル、2005年、124分
製作・監督: ブレノ・シウヴェイラ、脚本: パトリシア・アンドラージ、カロリーナ・コトショ、脚本協力: ルシアーノ・カマルゴ、ドミンゴス・デ・オリヴェイラ、ブレノ・シウヴェイラ、音楽: カエターノ・ヴェローゾ
出演: アンジェロ・アントニオ、ジラ・パエス、ダブリオ・モレイラ、マルコス・エンヒケ、マルシオ・ケーリング、チアゴ・メンドンサ