吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2030年ごろかも。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

「ナショナリズム論の名著50 」

大沢 真幸編 石沢 武〔ほか〕執筆
平凡社 : 2002.1

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 各地で民族紛争が起きたり、アメリカ軍がアフガンやイラクまで出かけて爆弾を落とすような世の中、いったい、他国や他民族の命を平気で奪うような心性はどこから生まれるのだろうか? 戦争の原因はナショナリズムにあるのか?

 ナショナリズムは古くて新しい「謎」だ。「国家」がいつからあるのかは定かでないが、国家についての議論は実はせいぜいこの100年ほどの間に行われているに過ぎない。ナショナリズムについて、その言説の歴史を学ぶなら、この一冊でじゅうぶんだろう。

 とりあげられているのは、名著50冊だけではない。各論ごとに豊富な参考文献が挙げられているので、本書に掲載された本をすべて読破しようとすれば、一生かかるかもしれない。
 もちろん、素人はそんなことをする必要はない。名著50冊だけでも全部読むのは時間的に困難だ。なら、精髄だけいただこうという向きは、この本をとにかく片っ端から読む。最初から順に読まなくてもいいけど、とにかく全部読む。すると、随分いろんなことが見えてくる。50冊の解説を書いた著者たちが、本書になみなみならぬ力を入れていることがわかるだろう。単なる図書紹介を超えて、論説と批判に踏み込んでいる。

 事典がわりに座右において、いつでも手にとって少しずつ読むというのもいい。いたく興味をひかれた本は、実際に原典を手にとって読んでみたくなる。これは、本の泉へ読者をいざなう、格好の水先案内書だ。