
ストーリーはまるで「フランス軍中尉の女」のリメイクのような内容。主人公たちが出演する映画が19世紀時代劇というのも共通している。女優が芸達者というのも共通している。けれど、わたしにはこの作品のほうが面白かった。なぜだろう? 「フランス軍中尉の女」に比べると主人公達が若く、彼らの恋愛駆け引きが青い。その青さが微笑ましくも痛い。
劇中劇の悲恋と現実の役者たちの恋愛の行方が交差し、嫉妬やいらだち、諍いがそれぞれの物語が進むうちにどんどん影響を与え合っていくように見える。観客には徐々に映画の中の現実と虚構の境界がなくなっていくのだ。映画製作の場面を描いた自己言及映画は映画ファンの好きなジャンルの一つだろう。そもそもそういう映画ファンには美味しい舞台設定の上に、誰もが身に覚えのありそうな恋愛の強情や意地張りや嫉妬が描かれていくと、すっかりのめりこんでしまう。
しかしこれ、面白いことに「フランス軍中尉の女」と逆の結末を迎えるのだ。劇中劇は悲恋に終わり、演じた役者たちの恋は…まあ、なかなか一筋縄ではいかないみたいだけど、ハッピーエンドと言ってもいいだろう。「フランス軍中尉の女」では役者たちがダブル不倫だった。そういう恋愛にハッピーエンドはやはり赦されないのだろう。一方、「映画のようには愛せない」のほうは若い役者どうしだったから、彼らには未来があるのだ。
主役二人が美しいです。いいですね、こういうのがやはり恋愛映画の醍醐味。(レンタルDVD)
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LA VITA CHE VORREI
イタリア/ドイツ、2004年、上映時間 125分
監督: ジュゼッペ・ピッチョーニ、製作: リオネッロ・チェッリ、脚本: リンダ・フェッリ、ジュゼッペ・ピッチョーニ、グァルティエロ・ロゼッラ
出演: ルイジ・ロ・カーショ、サンドラ・チェッカレッリ、ガラテア・ライツィ、ファビオ・カミリ、アントニーノ・ブルスケッタ、カミッラ・フィリッピ