
これはケッサクだ! こんなに面白いミステリーもなかなかないよ。ウディ・アレンが暗い表情で喋りまくり、複数人のしゃべくりが重なる会話劇の面白さはやはり群を抜く。この頃まではアレンのコメディは絶好調だったんじゃないかな。
「精神分析医にかかればいいんじゃない?」という科白が何度も登場するように、ここには精神分析に対する皮肉ともとれる言説が何度も顔を覗かせる。じっさい、ダイアン・キートン扮する倦怠期の主婦は、強迫神経症(死語?)的な症状を呈しているし、インテリ・ニューヨーカーたちのびょーきを笑う映画だ。やはりコメディは自嘲ものに限る。自分を相対化し、突き放して笑う。ここに知的な笑いの源泉があるのだ。ウディ・アレンはユダヤ的コメディアンだと痛感する一作。
最後は夫婦の危機も乗り越えて丸く収まるというのはウディ・アレンの願望かも。相手役がダイアン・キートンというのも彼の私生活を考えれば意味深ね。(レンタルDVD)
-----------------------------------
MANHATTAN MURDER MYSTERY 上映時間107分(アメリカ、1993年)
監督・脚本:ウディ・アレン、脚本:マーシャル・ブリックマン
出演:ダイアン・キートン、ウディ・アレン、アラン・アルダ、アンジェリカ・ヒューストン、ジェリー・アドラー、ロン・リフキン