吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2030年ごろかも。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

マイ・ブルーベリー・ナイツ


 ウォン・カーウァイにしては普通の映画すぎる。普通の映画にしてはおしゃれ。期待値が高すぎたのがいけなかったのか、途中で寝てしまった。次々登場する脇役達が豪華すぎて主役が食われているのも苦しい。
 

 ニューヨークの夜、深夜まで開いているカフェにやってきた若い女はエリザベス。失恋したばかりで、元彼の部屋の鍵をこの店のマスター、ジェレミーに預けに来たのだった。毎晩のように店にやって来てはジェレミー相手に売れ残りのブルーベリーパイを食べ、とりとめもないおしゃべりを交わすエリザベスだったが、ある日突然ニューヨークを出て西へと向かう。彼女がこの町に帰ってくるまで1年もかかることになろうとは…。旅の途中でエリザベスはジェレミーに手紙を書く。今はメンフィスにいるの、ウェイトレスをしているわ。今はラスベガス。旅先から届く手紙に心を躍らせるジェレミーの気持ちを知っているのかいないのか、旅するエリザベスは何を経験し、何を失い何を得るのだろう。

 メンフィスでは酒びたりの警官と知り合い、別れた妻への未練をみじめったらしく人前でさらすその姿を同情しつつ眺めていた。エリザベスが目撃したのは失って知る愛の深さと絶望。そして次に出会ったのは若く美しいギャンブラー。ところがこのエピソードのあたりで爆睡。ナタリー・ポートマン演じるギャンブラーのギャンブラーらしい姿はまったく見ていない。とほほ。


 本作はカメラと照明にはかなり凝っていて、「これは!」と思わせるシーンがいくつもある。例えばカフェ店内の様子を防犯カメラで再生してみせたり、スローモーションやアップを多用して人物の表情の綾に迫ってみせたり。しかし、なんだかそういう小手先の技も「花様年華」や「愛の神、エロス(第1話)」のような密度の濃い傑作があるだけに、肩すかし。どうしてもお気に入りの2作と比べてしまうからか、面白みに欠ける。アメリカに行くとウォン・カーウァイも普通の映画を撮ってしまうんだなぁとがっかり。

 これ、女の理想です。いつも優しく見つめて包んでくれる眼差しがある。傷ついて放浪してもちゃんとブルーベリー・パイを作って待っていてくれる人がいるなんて。羨ましい話です。

 この人の作品は間違いなく音楽の使い方が素晴らしい。わたしみたいにあまりにも期待しすぎると失望するけれど、そうでなければなかなかおしゃれで雰囲気もいい恋愛寓話です。主役以外はみんないい味をだして好演。

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MY BLUEBERRY NIGHTS
製作国 香港/中国/フランス、2007年、上映時間 95分
監督: ウォン・カーウァイ、製作: ジャッキー・パン、脚本: ローレンス・ブロックウォン・カーウァイ、撮影: ダリウス・コンジ、音楽: ライ・クーダー
出演: ノラ・ジョーンズジュード・ロウデヴィッド・ストラザーンレイチェル・ワイズナタリー・ポートマン