吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2030年ごろかも。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

憲法草案作成の陰にロマンスあり

『敗北を抱きしめて』下巻に登場するベアテ・シロタのことが気になったので、『憲法に男女平等起草秘話』 土井たか子, ベアテ・シロタ・ゴードン [述]. 岩波書店, 1996. -- (岩波ブックレット ; No.400)
を読んでみた。

 当時22歳のシロタはリサーチャーとして優秀な人材であったし、そのことを本人も隠さない。日本人なら謙遜しそうだが、彼女は「自分が優秀だった」ということを誇りにしているようだ。また、そのように訓練されるよい機会もあったという。

 また、草案をめぐる日本側の議論では、天皇制に関する部分がもっとも紛糾し、彼女が草案を書いた民法の部分も大激論になったという。

 シロタは、このときの一連の仕事で通訳として知り合った米軍のゴードン中尉と結婚した。憲法草案作成の裏にロマンスがあったのだ。
 ますます、映画化したくなる題材だなぁ~
 女性監督に映画を作ってほしいよ、ほんと。

Posted by pipihime at 21:50 │Comments(2) │TrackBack(1)
2004年08月15日
「民主と愛国」11,12章
 11章はあんまりおもしろくなかったが、12章は安保闘争の章である。時代の状況が手に取るように見えてくる。

 かつて、安保闘争関係資料を整理し目録を作ったわたしには、懐かしい記述や用語が登場してなんだかワクワクしてしまったが、それ以上に、小熊さんの、時代をつかむ認識眼というか、時代状況を的確に描き出す力量の大きさに感心した。

 「市民」という言葉は、安保闘争の中で初めて肯定的に使われた言葉だったのだ。敗戦後すぐは「プチブル」と同意語だった「市民」が、既成の組織から自由な人々という意味で肯定的に使われた。

 「市民」は、安保闘争のなかで現れた、自立と連帯が同時に実現している状態を形容した言葉だった。政治学者の福田歓一は当時の座談会で、個人が自発的に組織を作って連帯を生みだしてゆく感覚が安保闘争で生まれたと述べ、「つきつめれば、一人一党になったわけで、それが市民精神だ」と述べた。江藤淳も、自立と連帯を兼備した「新しい市民的な運動」の必要性を唱えた。(p524-525)