吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2030年ごろかも。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方 

 

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 原題は「見習い」。トランプが出演していた番組のタイトルでもある。ドナルド・トランプが剛腕悪徳弁護士に仕込まれて経営者としてあくどくなり上がっていく様を描いた伝記もの。本人が生きているときに作られたこの手の映画はとかく物議をかもすことになると思われ、実際にトランプが上映阻止に動いた、という惹句が踊る。しかし具体的にどういう阻止行動をしたのかは不明だ。

 映画の時代はトランプの20代から始まり、レーガン政権さなかの1986年で終わる。この年で終わるのは、彼の「師匠」であった弁護士ロイ・コーンが死去したからである。コーン弁護士は赤狩りの先頭に立った元検事であり、ローゼンバーグ夫妻を死刑にしたことを自慢するような人物だ。トランプが主人公の映画のはずだが、ロイ・コーンの存在感が大きすぎてどっちが主人公かわからないぐらいだ。眼光鋭いコーンに見込まれた青年トランプが次々と事業を拡げ、あくどい手を使って税金逃れをやってのけるその手法には恐れ入る。

 映像は実際の70年代のものを使ったり、ドキュメンタリータッチの撮り方をしているので、古き時代の雰囲気がよく出ている。美術については、トランプタワーの内装の豪華さには目を見張り、さらに彼の自宅がその上手をいくような邸宅であることにも驚く。成金趣味といえばいいのか、天井に金箔を貼ったり、絢爛豪華なその様相にも瞠目だ。

 コーン弁護士の死で終わってしまう本作だが、さらにこの続きを見たいと思わせる面白さがある。(Amazonプライムビデオ)

2024
THE APPRENTICE
アメリカ  Color  123分
監督:アリ・アッバシ
製作:アリ・アッバシほか
脚本:ガブリエル・シャーマン
撮影:キャスパー・トゥクセン
音楽:マーティン・ディルコフ
出演:セバスチャン・スタン、ジェレミー・ストロング、マーティン・ドノヴァン、
マリア・バカローヴァ