吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2030年ごろかも。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

新幹線大爆破

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 今から50年も前の映画なんだと痛感する作品。新幹線の中に公衆電話があったなんて、すっかり忘れている! 「過激派は逮捕されたら必ず黙秘する」と警官が固く信じている。新幹線の食堂車も懐かしい。すべてが古臭くてとてもよい。

 さらに良いのは、オールスターキャストだということ。なにこの豪華な役者たち。昔の役者は活舌がよく、カメラ写りもばっちり決まっていてとてもよい。宇津井健のかっこよさには痺れた。

 ストーリーはというと、金策尽きて倒産した零細企業の社長(高倉健、町工場のオヤジには見えない(笑))と学生運動活動家あがりの若者(山本圭)、元不良少年の3人が一致団結して国鉄を脅迫し、500万ドルを強奪しようという作戦を決行する。人質は新幹線の乗客1500人。ドル建てで身代金を用意させるところがなかなかの頭脳犯である。新幹線に爆弾を仕掛け、それは時速80キロ以下に落ちると自動的に爆破するというもの。そう、かのハリウッド大ヒット作「スピード」の元ネタになった作品である。

 迫真の演技と特撮、緊迫感が最後まで途切れない素晴らしい出来であり、オイルショック後の零細工場の倒産という当時の経済情勢も踏まえており、他人事とは思えない身につまされるような展開だ(わたしの実家はオイルショック時に父が町工場を創業して随分苦労した)。

 東京駅を発車してから止まることを許されなくなった新幹線をいかにして止めるのか?! 新幹線を制御する技師たちの頭脳戦に手に汗握る。新幹線の制御室がいかにもアナログな感じがするとはいえ、そのコントロールのおかげで事故無く走行できているということがよくわかる。しかも、コンピュータが使える時代なのに結局のところ人力で計算したり線を引いたりと、まだまだ人間の力が必要なのだと思わせる。

 演出は緊迫感に満ちているが、運転士に汗をかかせすぎでは? 冷房効いてないのか(笑)? ほかには、やたら登場人物が大声出しすぎているところもこの時代の演出を思わせる。基本的に男の話なので、女性は刺身のツマ程度にしか扱われていない。全般に犯人側に悲壮感が漂い、彼らに同情するような展開でもあるところが切なく、社会批判が底に流れている。見ごたえがあった。(Netflix

1975
日本  Color  153分
監督:佐藤純弥
企画:天尾完次、坂上順
原案:加藤阿礼
脚本:小野竜之助佐藤純弥
撮影:飯村雅彦
音楽:青山八郎
出演:高倉健山本圭田中邦衛宇津井健千葉真一小林稔侍、志村喬、永井智雄、志穂美悦子渡辺文雄竜雷太丹波哲郎鈴木瑞穂北大路欣也川地民夫、多岐川裕美、露木茂宇津宮雅代富田靖子藤田弓子岩城滉一