吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2030年ごろかも。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

告白 コンフェッション

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 導入部で「大学最後の年にさゆりが遭難した」というナレーションが流れ、その後はいきなり雪山で遭難している男二人が画面に映る。一人は足を大けがしている模様。

「おれはもうダメだ。置いていけ。おまえだけなら助かる。もういい、俺はここで死ぬべきなんだ」と絶望的な表情の男は問わず語りに16年前の殺人を告白する。それは、この登山の目的であった、さゆりの死を悼む追悼登山の途中でのことだった。

 というところから、すぐに山小屋が見つかって、どうにか二人は避難することができた。あとは救助隊の到着を待つだけ。

 しかししかし…。もうだめだと悟って過去の殺人をうっかり告白してしまったのは韓国からの留学生リュウ・ジヨン。ジヨンの親友である浅井啓介は、気まずい思いをする。「いいよ、ジヨン。お前は16年も苦しんできたんだろう? もういい」と言うが、心の中では「ジヨンは殺人を告白してしまったことを後悔しているに違いない。俺を殺すのでは?」と疑心暗鬼にとらわれていく。そう思うと、ジヨンの言動のすべてが怪しく思えてくるではないか。

 こうして、長い長い夜が始まった……。救助隊が到着するまで二人は無事に朝を迎えることができるのだろうか?

 という、スリラーというかほとんどホラー。壮絶な心理戦が展開されていき、片足が動かないはずのジヨンが足をひきずりながら執拗に浅井を追い掛け回す。殺されるのを待っているわけにいかない浅井も反撃を試みる。こうして二人の追いつ追われつの殺人ゲームが山小屋という密室で展開していく。

 映画はワンシチュエーションドラマであり、ほとんどこの二人だけの芝居である。二人が愛した女性、そしてジヨンに殺されたさゆりが回想シーンで登場するだけだから、登場人物はこの3人だけ。

 心理戦によって炙り出されていくのは、親友だったはずの二人の心の闇。ここで怖いのは、ジヨンが時々韓国語で呟くことだ。その意味を浅井は理解できないので、ジヨンが何を言っているのかわからないものだから恐怖がいっそう募ってくる。

 かの傑作「シャイニング」(スタンリー・キューブリック監督)の恐ろしい、<ナタでドアを破る>シーンも繰り返しこの映画で再現される。鉄壁やねえ。

 まあ、怖い物観たさで見るのもいいのではないでしょうか。74分だし。さくっと終わります。(Netflix

2024
映画サスペンス
日本  Color  74分
監督:山下敦弘
製作:宮川朋之ほか
原作:福本伸行 (原作)
かわぐちかいじ (作画)
脚本:幸修司、高田亮
撮影:木村信也
音楽:宅見将典
出演:生田斗真、ヤン・イクチュン、奈緒