吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

パリタクシー

https://eiga.k-img.com/images/movie/98840/photo/a636cf01be6d0bf6/640.jpg?1674702797

 おとぎ話のような良い映画。見終わった後、しみじみする。こういう映画を見るとほっとするので、すさんだ心を癒してもらうためにお薦めのもの。ただし途中、家庭内暴力の場面はかなりぞっとしてしまうので、こういう場面があると知らずに見た人には衝撃と思われる。この映画の評価はこの場面があるかどうかで変わってしまう可能性がある。なので、閲覧注意ともいえる。

 さて、この映画は90歳の女性が自らの人生をタクシー運転手に語り、その思い出の場所をめぐるというもの。当初偶然老女を乗せた運転手が、嫌々ながらも客のリクエストに応えているうちにすっかり彼女の語りの虜になっていく、という流れで、老女の波乱万丈の物語がフランスの戦後女性史の一ページを埋めていく。

 このような現代史ものはわたしの大好きなジャンルなので、非常に面白く見ることができた。老女を演じたリーヌ・ルノーの品の良さと美しさに惚れ惚れする。こんな美しいおばあさんにわたしもなりたい。

 で、冒頭に述べたように、DVの場面は相当に強烈なので、そういう場面があるということを心してほしい。(レンタルDVD)

2022
UNE BELLE COURSE
フランス  Color  91分
監督:クリスチャン・カリオン
製作:ロール・イルマン、クリスチャン・カリオン
脚本:シリル・ジェリー、クリスチャン・カリオン
撮影:ピエール・コッテロー
音楽:フィリップ・ロンビ
出演:リーヌ・ルノーダニー・ブーン、アリス・イザーズ、グウェンドリーヌ・アモン