吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

シルバー・スケート

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 1900年12月、凍った町サンクトペテルブルクでは人々がスケート靴を履いて行き交っていた。そんな中に、露店で賑わう街をスケートで滑走しながら移動する若者のスリ団があった。彼らの手口は実に巧妙でスピードにあふれている。スリ団を映すカメラの切り返しはゾクゾクする爽快さ。

 そこに現れる、貴族の令嬢。美人で上品で頭も良い。良い良い尽くしである。彼女に惚れるのはスリ団の一味である貧しい青年。彼が盗みを働くのは末期の結核を患う父親に高度な医療を受けさせたいから。泣かせるではないか。しかしまあ、令嬢に惚れる男の心理は解るが、この貧乏な青年になぜ令嬢が惚れるかな。

 それはともかく身分違いの二人の恋の行く手にはもちろん様々な壁が立ちふさがるのである。恋のライバルである軍人は抜群のスケート技術を持つ男でかつ残忍。でもフィギュアの腕前は大したものだ。

 こういう、スケートによる移動でアクションを見せる映画は初めて見た。それよりもロシアの恐ろしい寒さにぞっとしたよ、町中凍ってるなんてねえ。

 映画の設定としては貴族の令嬢が才能を生かして大学へ進学したいと願うところや、それを親に阻止されて家出を敢行するところとか、かなり現代的なものになっているのが昨今の「政治的正しさ」に配慮した内容と言える。

 でも最後の方はとってつけたみたいな結末だった。まあハッピーエンドだからえっか。(Netflix

2020
SEREBRYANYE KONKI
ロシア  Color  137分
監督:ミハイル・ロクシン
製作:ピョートル・アヌロフ
脚本:ロマン・カントル
撮影:イゴール・グリニャーキン
音楽:ガイ・ファーレイ
出演:ヒョードル・フェドートフ
ソーニャ・プリス
ユーリー・ボリソフ
キリル・ザイツェフ
アレクセイ・グシュコフ
セヴィリヤ・ヤノシャウスカイテ
ユーリー・コロコリニコフ
ドニ・ラヴァン