吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

ニューヨーク・ニューヨーク

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 30分カットして120分で収めてあれば、かなりよい作品になったであろう。しかし、ライザ・ミネリの歌唱が素晴らしいので、そこまでの冗長な物語は全部我慢我慢。逆に、「やっとでたか、ライザの歌!」って感じで感動もひとしおである。後半はライザ・ミネリ演じるフランシーヌが大スターになっていく場面で、劇中劇も楽しい。

 天才的なサックス奏者と天才的な歌手が夫婦になっても幸せにはなれないという、才能か愛かという二者択一を迫る典型的な物語だ。しかしこれはどう考えても男が悪いね、彼が癇癪持ちで不寛容なのがいかん。だからこそ、ラストシーンはああなるしかなかった。

 ラストに漂う哀愁を浴びながら思い出していたのは、「ラ・ラ・ランド」だ。そうか、こういうのは元祖ハリウッドというか定型ハリウッドの成功悲恋物語だったんだ、と納得した。

 ロバート・デニーロが登場した瞬間に「うわ、若っかー!」」と叫んでしまったよ、男前でかっこいいです。 

 ところで本作は図書館映画。ニューヨーク公共図書館が登場して、昔懐かしいカード目録がずらりと並ぶシーンなんかぞくぞくしてしまう。で、主人公カップルは図書館の閲覧室で言い争いをしたりして司書に「しーっ、静かに!」と注意される。このころは図書館は静寂の館だったのだな。(レンタルBlu-ray

1977
NEW YORK, NEW YORK
アメリカ Color 155分
監督:マーティン・スコセッシ
製作:アーウィン・ウィンクラー、ロバート・チャートフ
原案:アール・マック・ローチ
脚本:アール・マック・ローチ、マーディク・マーティン
撮影:ラズロ・コヴァックス
音楽:ジョン・カンダー、フレッド・エッブ、ラルフ・バーンズ
出演:ロバート・デ・ニーロライザ・ミネリ、ライオネル・スタンダー