吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

娼婦ベロニカ

娼婦ベロニカ [DVD] 

 映画館が閉まっている今、ストレスを溜めているみなさんはおうちで映画を見ましょう。というわけで、しばらくは家で見られる映画特集を。

 まずはイタリアを舞台にしたアメリカ映画のご紹介。イタリア語じゃなくて英語でしゃべってます。Amazonプライムビデオのタイトルはなぜか「Dangerous Beauty」。

 16世紀のヴェネツィアに生きた実在の高級娼婦ベロニカの物語。まったく知らなかったのですべてが新鮮な驚きだった。女が職業を持って生きることができなかった時代、唯一の立身出世の道は高級娼婦になることだったという。自身が高級娼婦だった美しい母(ジャクリーン・ビセット!)は娘ベロニカを高級娼婦にするため、厳しい教育を始める。そもそもはベロニカが恋する男と結婚できないというのが事の発端なのだ。貴族である恋人マルコは政略結婚してしまった。ベロニカは愛しあう人と結婚できないなら愛人になるしかないと決意し、高級娼婦の道を選ぶ。

 この映画は図書館映画でもある。ベロニカの母は女子禁制の図書館にベロニカを連れていく。高級娼婦だけが立ち入りを許されていた場所である。ここでベロニカは読書することによって高い教養を身に着け、詩人としても名を馳せるようになる。

 それにしても女の自立なんてまったく存在せず、女が就ける職業もなく、女は男の持ち物だった時代、娼婦も人妻も不幸でしかない。夫の愛をベロニカに独占される妻(ナオミ・ワッツ、若い!)も可哀そうだ。

 映画の見どころはベロニカの品のある美しさと、豪華絢爛なる衣装と美術。金のかかっている映画である。大画面で見たらさぞや耽溺できたであろう。(Amazonプライムビデオ) 

1998
A DESTINY OF HER OWN
アメリカ   111分 
 
監督:マーシャル・ハースコヴィッツ
製作:
エドワード・ズウィックほか
原作:マーガレット・ローゼンタール
脚本:
ジャニーン・ドミニー
撮影:
ボジャン・バゼリ
音楽:
ジョージ・フェントン
出演:
キャサリン・マコーマックルーファス・シーウェルオリヴァー・プラットモイラ・ケリー、ジャクリーン・ビセットナオミ・ワッツ