吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

嘘八百

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 役者が芸達者なので感心する。

 なんと、まさかの続編公開だそうな。「まさかの」って製作者がいうんだから、まさかなんだろう。で、そのまさかの続編が出るっていうから「まさか」の前の本編を見たくなるのは人情。で、そのタイミングに合わせてAmazonプライムはちゃんとビデオを無料開放してくれるのである。うまいなー、商売が。で、その商売に乗ったわたしはついつい見たのである。

 でで、これがまあ、実に面白いのだ。続編ができるのも納得。舞台は京都。詐欺師が詐欺師に騙される贋作造りの丁々発止が見どころとなる。

 物語のあらすじは、儲からない古物商が同じく儲からない陶芸家を巻き込んで贋作を作らせて売りまくる、というもの。博物館が騙され、騙した者が騙され返し、誰が嘘つきなのかもはやわからない――。

 こうなると文化財の値打ちってなんだろう、と疑問に思う。なんでも金なのか? 文化財こそ公共物ではないのか? もちろん正当な金額を払ったうえで公共財とすべきとは思うが、市場に出回る文化財についてはかねてから疑問に思っていたところ。

 そういう点でも考えさせられた。こんなコメディなのに結構奥が深かったりする(かも)。

 贋作作りの腕をふるう佐々木蔵之介が見もの。蘊蓄をたれる学芸員の下手な英語も爆笑のつぼ。いろいろ面白かった。(Amazonプライムビデオ)

2017
日本  Color  105分 
監督:武正晴
脚本:
足立紳今井雅子
音楽:
富貴晴美