1976年にイスラエルで起きたハイジャック事件の顛末を犯人側から描いた。すでにこれまで3回にわたって映画化されている事件で、結末は多くの人が知っている。イスラエルの特殊部隊の突入によって人質の犠牲は最小限度に抑えつつ、100人以上を救出したとして「大成功」とされている「サンダーボルト作戦」である。
実はそのこれまでの三度の映画を観た覚えがない。ひょっとしたら見たかもしれないが、全然覚えていない。なので、比べることはできないのだが、これまでは一方的にイスラエルが正義の味方だったらしいから、その当たりは異なる視点からの映像化であることは間違いなさそう。
とはいえ、いったい何を言いたいのかよくわからない映画だった。ハイジャック事件と並行してイスラエルのモダンダンスが挿入されるのだが、それが何を意味しているのかさっぱりわからない。劇場用パンフレットの監督の言葉を読んでようやく意味がわかった。いわく、「[このダンスは]自由を描いた作品である。だが自由がその魔法のような効力を失っている以上、事細かに説明する必要はないだろう。……彼らの動きは、自ら招いた痛みを暗示する」
残念ながら監督のこの意図が観客に伝わっているとはいいがたい。監督の意図していることをくみ取れないわたしが馬鹿なのかもしれない。
この映画を観ながら思い出していた映画は何作もある。
・バーダー・マインホフ
・ミュンヘン
・カルロス
・実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)
非常に興味深かった点は、この事件の対策を巡ってラビン首相とシモン・ペレス国防大臣が対立していたところ。犯人側の内面なんてほとんど描かれていなかったのに比べて、こちらのほうがよほど面白かった。後にラビンは暗殺され、ペレスは首相となる。なるほど、と思わせるものがあった。軟弱なラビンは「リベラル派」で、強硬派のペレスが突入作戦を主導する。人質の犠牲者が2人だか4人だかですんだのは大成功、という感覚がわたしには理解しがたい。
突撃隊長としてヨナタン・ネタニヤフが登場するが、彼は早々に死んでしまう。後に彼は英雄として祭り上げられ、その弟がやがては首相になるというなんともはやの事態が出来するのである。なんの手柄もなかった兄の死を利用したネタニヤフにも舌を巻く。まあ、それが暴露されるのはずっと後になってからだからね。
2018
ENTEBBE
7 DAYS IN ENTEBBE107分
イギリス/アメリカ/フランス/マルタ
監督:ジョゼ・パヂーリャ脚本:グレゴリー・バーク音楽:ホドリゴ・アマランチ出演:ロザムンド・パイク、ダニエル・ブリュール、エディ・マーサン、リオル・アシュケナージ、ドゥニ・メノーシェ、ノンソー・アノジー、アンヘル・ボナニ
