吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2030年ごろかも。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

 ライオン・キング

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 忙中閑ありシリーズ。今のうちに行っておかなくては見られないかもしれないという恐怖にそそられて行ってきました、話題のフルCG実写アニメ。ん? CG実写アニメ? そんなジャンルありなのかな。

 ディズニーにとってはこれが三度目のライオン・キング。今回はもちろん絵の力に驚嘆するしかないのだが、それと同じかそれ以上に音楽が素晴らしかった。帰宅後何度もAmazonミュージックでサントラを聴いている。

 実写アニメ、という書き方をしたが、じつは実写場面はまったくない。そのことがにわかには信じられないほど、クオリティの高い実写以上の実写風景が広がる。どうやって描いたのか不思議だ。だから、その不思議に答えるため、劇場版パンフレットはやたら「原画」を掲載している。この原画は普通の手描き油絵か水彩画のような風合いのあるもので、「コンセプトアート」という。

 CGなのになぜ撮影監督が存在するのかも不思議だったが、普通の実写撮影と同じようにドリー用のレールを敷いてカメラを回しているというから三度びっくり。カメラの動きをコンピュータに取り入れて画面を動かしていったという。だから、全速力で走る動物を追うカメラが、実際のカメラの動き方と同じなのだ。手振れ感までそのまま再現している。なので、実写のリアリティがすさまじく高い。しかしこれはわたしにはちょっと残念な気もする。CGでないとできない画面の動かし方をしてもよかったのではないか。実写に限りなく近づけるCGっていうのはどうも使い方として本末転倒のような気がする。

 特筆すべきは音楽のよさ。懐かしい「ライオンは寝ている」をセス・ローゲンとビリー・アイクナーが歌う。大変ノリのいい曲で、わたしは思わず座席に座ったまま踊りだしそうになったわ。セス・ローゲンの野太くファンキーな声がイボイノシシのキャラクターにぴったりで実によかった。エルトン・ジョンの「ネバー・トゥー・レイト」といい、挿入歌が素晴らしい。

 ストーリーは、子どもから青年へ、そして大人へと成長するライオンの物語が核にあり、権力争いの醜さを描く。この話が王国の権力争いじゃなくて、権力は不要だという結論だったらもっとよかったのにね。

(2019)
THE LION KING

119分
アメリカ

監督:ジョン・ファヴロー
製作:ジョン・ファヴローほか
脚本:ジェフ・ナサンソン
撮影:キャレブ・デシャネル
音楽:ハンス・ジマー
オリジナルソングス:ティム・ライス、エルトン・ジョン
声の出演:ドナルド・グローヴァー、セス・ローゲン、キウェテル・イジョフォー、
アルフレ・ウッダード、ビヨンセ・ノウルズ=カーター、ジェームズ・アール・ジョーンズ