吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。

ブルゴーニュで会いましょう

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 ずらりと並ぶワインとグラスがアップで写る巻頭。軽快なジャズボーカルが流れるこの場面がおしゃれだ。そのワインを次々とテイスティングするかっこいいお兄ちゃんはシャルリという名のワイン評論家。ソムリエとはまた違うんだな。彼はワインの評価をして本を出版する。かなりの影響力のある成功した評論家であるシャルリはワイナリーの跡取り息子だったのだが、頑固な父親と衝突して家を出てしまい、パリで華やかな生活をしていたのだった。

 しかし、実家の畑が借金のかたに人手に渡りそうだと知って、やむなく田舎に戻って来てワインづくりに精出すこととなる。ワインの味はわかっても、作るのはド素人の彼は、隣家のワイナリーの手助けも得て昔ながらの製法で葡萄畑を耕し、ワインを作ろうと決意する。。。。

 ボルドーのワイナリーをディスる親父。「ボルドーには販促のプロ、資本家、建築家ばかりで醸造家がいない」とボルドーから買い付けに来たワイナリーの経営者を面罵する父にうんざりするシャルリだった。

 牛を使い、また、人力によって丘陵地帯を登りながら畑を耕す作業は重労働だ。その重労働ぶりが画面からはさほどには感じられなかったのが残念。ブルゴーニュの葡萄畑の光景は圧巻だ。地平線のかなたまで広がる丘陵地帯すべてが葡萄畑だ。ここからいったいどれだけ多くのワインが採れるのだろうと思うとわくわくする。

 父との対立や隣家の娘との恋愛など、それなりの波乱万丈があっても、シャルリのワイン造りは懸命の努力と勉強によって着実に進んでいく。物語は予想通りの予定調和を迎えるという安心路線を行くので、ストレスなく見られる。なんといってもワインが美味しそうだし、料理もそそられるし、なかなかいいんじゃないでしょうか。

  この映画がどれだけフランスのワイナリーの実態を反映しているのかはわからないが、伝統産業とりわけ第1次産業の跡取りが人手不足であることは容易に想像がつくから、こういう苦悩はあちこちでみられるのではないだろうか。

 根が単純なわたしはこういう映画を観るとすぐにワインが飲みたくなる。美味しそうな映画を観るとすぐに食べに行きたくなる。で、よく考えてみたらボルドーだろうがブルゴーニュだろうが、ワインの味なんかわからないんだよね。美味しいか美味しくないかは自分の好みに合うかどうかだけ。ロマネコンティなんか飲まされたってきっと美味しいと思わないだろうし、ボジョレー・ヌーヴォーが美味しいなあと思うような人種なんだから、ワイン通からは嘲笑されるだけだと思うが、とにかく美味しそうに思えたので、とりあえずイオンで売ってた3リットルの箱入りワイン(1500円)を楽しく飲んでる。最近こればっかり飲んでいて、けっこう気に入ってます。(Amazonプライムビデオ)

2015
PREMIERS CRUS

97分、フランス
監督:ジェローム・ル・メール、脚本:レミ・ブザンソンほか、音楽:ジャン=クロード・プティ
出演:ジェラール・ランヴァン、ジャリル・レスペール、アリス・タグリオーニローラ・スメット、マリー・マレシャル