吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

神様メール

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 アイデアが秀逸。こんな映画を作ってキリスト教関係者から抗議が来なかったのかね。神様がブリュッセルのどこかのアパートに住んでいて、人々の運命をパソコンで操っているとか、息子のイエスは父親と喧嘩して家出したとか、神様の妻は夫に虐待されて人間性(いや、女神性か)が歪んですっかりやる気喪失女になっているとか。。。もう無茶苦茶な設定なのがあきれるやら面白いやら。よく思いついたもんです。

 そもそもこの父親=全能の神がほんとうにどうしようもないDV男で、全世界はわしのものじゃ、みたいなおごり高ぶりが服を着ている(まあ、神様だから奢り高ぶりは当然か)ような人(いや、神)なので、死んでしまえ、こんなやつ!と思わせる。いや、神だから死なないか。
 で、問題は神の可愛い娘エアちゃんがパパのパソコンをこっそり操作して、全人類に自分の余命を知らせるメールを送ってしまったこと! 余命を知って絶望する人やら残される家族に愛をささげる切ない母親やら「何をやっても死なないんだもーん、ぼく。だって余命は62年!」とか言って窓から飛び降りるバカとか、世界中が大混乱の人々で埋め尽くされる。で、細かいことは忘れてしまったけれど、いろいろと現実世界への批判が込められているところがなかなかよかった。
 次にコインランドリーに行くことがあれば、神様が出てこないかよく見てから洗濯物を入れることにします(笑)。(U-NEXT)

LE TOUT NOUVEAU TESTAMENT
115分、ベルギー/フランス/ルクセンブルク、2015
監督:ジャコ・ヴァン・ドルマル、脚本:トマ・グンジグ、ジャコ・ヴァン・ドルマル、音楽:アン・ピエールレ
出演:ブノワ・ポールヴールド、カトリーヌ・ドヌーヴ、フランソワ・ダミアン、ヨランド・モロー、ピリ・グロイン、ローラ・ファーリンデン