吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

マリーゴールド・ホテルで会いましょう

3年前にDVDで見た作品なのだが、最近続編を見たので、せっかくだから2作品の感想を一度にアップします。

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 インド映画なのにすがすがしい。いや、インドが舞台だけれど、イギリス映画だ。そういう雰囲気がいい。 

 歳を取って、最期の地をインドに求めてやってきた何組かの人々の群像劇。それぞれが何かしらの問題を抱えてインドにやってくる。あるいは希望を抱いて。もう人生はとっくに黄昏ているのに、まだ新たな出会いを求める元気なおば(あ)さんやら、夫に先立たれて傷心の未亡人やら、熟年の危機にある夫婦やらと様々な人間模様が、ジュディ・デンチの独白でつづられていく。基本は彼女の視点が中心なので、話が散漫にならない。いかにも原作が小説ということを匂わせる展開で、ジュディ・デンチのナレーションがまた心地よいテンポを作品に与えている。

 生き直しを求める人々の心はいくつになっても叶えられる。それは嘘のような偶然の奇跡がいくつも重なって実現する。いいなぁ、あんなふうに最後は生きられたらどんなにいいだろう。と、うらやましくなるお話でした。

 老人の話だけではなく、そこにインドの若者の恋と夢がからむのも絶妙な感じ。全体に、お話には新味がないのだだけれど、落ち着いた演出と適度なユーモアが観客の心を和ませる。(レンタルDVD)

THE BEST EXOTIC MARIGOLD HOTEL

124分、イギリス/アメリカ/アラブ首長国連邦、2011

監督: ジョン・マッデン、原作: デボラ・モガー、脚本: オル・パーカー、

音楽: トーマス・ニューマン

出演: ジュディ・デンチビル・ナイ、ペネロープ・ウィルトン、デヴ・パテル、セリア・イムリー、ロナルド・ピックアップ、トム・ウィルキンソンマギー・スミス