吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

50/50 フィフティ・フィフティ

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 ある日突然、脊髄の神経にできた癌のために5年後の生存率50%を宣告される27歳の青年アダム。彼の戸惑いと恐怖と希望とを、おちゃらけ親友カイルとの交わりを通して暖かく描く。脚本のウィル・ライザーは実際に癌を克服した人物で、彼の親友であるセス・ローゲンが製作に加わっている。

 主役の真面目青年アダムを演じたジョセフ・ゴードン=レヴィットが剃髪になると、まるで仏教徒のように見える。まだ若いのに枯れた雰囲気を出すのが実にうまい。親友カイルのええ加減な男ぶりをセス・ローゲンが地のままに演じている感じも力が入っていなくて、とてもいい。

 実体験を元にしているからだろう、治療の様子や手術に向かう時の描写が細かくて緊張感がある。病気になった自分を周りがどう扱っていいのか戸惑う様子や、恋人が裏切ったり、若くて頼りない女性セラピストとの出会いとか、人物がいろいろと動くさまも定番通りとはいえ、悪くない。特に別れた恋人の絵を壊すシーンでBGMに流れていた曲が懐かしくて、いい。タイトル思い出せないーーーー!


 映画的な盛り上がりには欠けるんだけれど、若くして癌になるということがどういうことなのか、その心の動きが伝わるところが切ない。 

 アダムの手術は成功するが、果たして彼がこのまま完全に病気を克服できるかどうかはわからない。人生、本当に50/50なのだ。明日何が起きるかわからないし、癌でなくても事故や急病で今日死ぬかもしれない。だから悔いのないようにいろんなことをしておきたい、とわがままな欲望がメラメラと燃え上がったりして、、、

50/50
100分、アメリカ、2011

監督: ジョナサン・レヴィン、製作: エヴァン・ゴールドバーグ、セス・ローゲン、ベン・カーリン、脚本: ウィル・ライザー、音楽: マイケル・ジアッキノ
出演: ジョセフ・ゴードン=レヴィットセス・ローゲンアナ・ケンドリックブライス・ダラス・ハワードアンジェリカ・ヒューストン