吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

ハルク

 「アベンジャーズ」の予習のために「ハルク」のDVDを借りてきた。いや実は、アベンジャーズのハルクはこれではなくて、「インクレディブル・ハルク」のようだ。で、このDVDを見た後で「アベンジャーズ」を見に行ったのだが、後半の戦闘続きのシーンで疲れてすっかり爆睡してしまったので、もはやもう何の映画だったのかも思い出せないほどであり、「アベンジャーズ」については言及しない。


 今回のハルクは、そもそも怪物に姿を変えるような原因を作ったのはマッドサイエンティトたる本人ではなく、父の実験のせいという、親の因果が子に報いた形。それに科学者ブルースは内向的で真面目な人間であり、決してマッドサイエンティストではない。という、かなり主人公に同情できる物語だ。
 ハルクに変身しないよう、怒りを抑えることに苦悶するブルースの内面に迫った作りはさすがアン・リー監督である。しかしこのハルクのCGがどうもいただけなくて違和感大いにあり。跳躍が魅力なのかもしれないが、あのぴょんぴょん跳びは滑稽なだけである。

 ブルースの恋人役のジェニファー・コネリーがたいそう美しく、けなげでよろしい。悩めるエリック・バナといい、主役二人の演技はかなり本格的で、アン・リーの真面目な演出が見られる。その一方でハルクの切れ方とか、ブルースの父親の切れ方とか、不自然な感じがする。
 とはいえ、けっこう長い話なのに退屈しないし、思ったよりもずっと見ごたえのある作品だった。

 ところで、一つだけどうしても納得できない点が。人間ブルースが変身巨大化してハルクになるのに、彼の服も一緒に大きくなるのか? 上半身は裸になってしまっているのに、なぜパンツだけ体と一体化して巨大化するのか、謎である。ついでにいうとこのパンツが紫色なのはなぜ? 気色悪いし。(レンタルDVD)

HULK
138分、アメリカ、2003
監督: アン・リー、製作: アヴィ・アラッドほか、原作: ジャック・カービー、スタン・リー、脚本: ジェームズ・シェイマス、マイケル・フランス、ジョン・ターマン、音楽: ダニー・エルフマン
出演: エリック・バナジェニファー・コネリーサム・エリオットジョシュ・ルーカスニック・ノルティ