吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男

 変人奇人の大富豪ハワード・ヒューズの自伝を捏造した売れない作家の詐欺事件。

主人公のクリフォード・アーヴィングの回想録を基に作られているが、このクリフォードというのが嘘つきでだらしなくどうしようもない男なのに、リチャード・ギアが演じるとどこか憎めなくて可愛げがあるから不思議。友人で作家のディックと組んで詐欺事件を実行するのだが、そのドタバタぶりが可笑しい。物語のテンポもよく、なかなか面白く見られたのだが、一部に説明不足や話が飛んでてよくわからない場面があって、つながりがわかりにくい難点がある。編集がまずい? 途中で大幅にカットされてしまった場面があるのではないか。

 そもそも、ハワード・ヒューズが何者かを知っていないと面白さが半減する。なぜ大手出版社がハワード・ヒューズの自伝に飛びつくのか、彼の伝説ぶりがよく理解できていないとだめなので、「アビエイター」を見て復習するのも良しかと。

 クリフォードがハワード・ヒューズの物まねをする場面が面白い。ペテン師同士は似てくる、ということか。

 70年代ファッションがおしゃれで眼を見張った。特にホープ・デイヴィスが次々とドレスを替えて登場するのだが、それが全部素晴らしい。懐かしいテイストだけではなく、今でも通用しそうなデザインがいい。(レンタルDVD)

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THE HOAX
116分、アメリカ、2006
監督:ラッセ・ハルストレム、製作:マーク・ゴードン、原作:クリフォード・アーヴィング『ザ・ホークス 世界を騙した世紀の詐欺事件』、脚本:ウィリアム・ウィーラー、音楽:カーター・バーウェル
出演:リチャード・ギアアルフレッド・モリナマーシャ・ゲイ・ハーデンホープ・デイヴィスジュリー・デルピースタンリー・トゥッチ