映画監督とプロデューサーの確執を描く、ハリウッド舞台裏暴露もの。舞台裏といってもこういうことは映画ファンならとっくに知っていることばかり。それでも、見ていて大変面白く感じるから自己言及映画ものは尽きないのである。
試写会の反応がさんざんで、ラストシーンの編集しなおしをプロデューサーから言い渡される監督。自分の作品のファイナル・カット権はプロデューサーにあるのだ。悔しがって大暴れする監督の姿がエキセントリックかつ大変興味深い。演じたマイケル・ウィンコットの、地獄の底から響いてくるような嗄れ声がたまりません。
劇中劇の作品がけっこう面白くて、どういう意味で面白いかと言うと、ばかばかしい、という点である。シリアスなギャングもののようなのだが、ラストシーンだけが作品のなかで上映される。これがかなりショッキングな映像なので、思わずぎゃっと叫んでしまいそう。で、その「ぎゃっ」の部分のカットを命じるプロデューサーの圧力に屈して監督が映画を編集し直すのだが、これがびっくり仰天。同じ作品とは思えないのだから、編集って怖い。この映画内映画作品には思わず笑えるラッシュフィルムの場面があったりして、ほんの一瞬映るだけだからしっかり見て笑うべし。
この映画にはいくつか小ネタが仕込んであって、それが笑える。ブルース・ウィルスが本人役で登場してキレまくるエピソードも最後に大笑いしたし、大筋のところではあまり面白い話ではないのに最後まで飽きない。最後のどんでん返しに快哉を叫ぶ映画人もいそうだ。しかしこれはコアな映画ファンにしか受けない作品ですね。要するに、細部の面白さだけで話を最後まで引き伸ばしてしまった、というシロモノ。
あー、それにしても「ギャッ」の部分は見ものですよ。何よりも、観客の反応がみもの。そんなことにブーイングするのに、なんであれやこれやにはブーイングしないんだ? 西洋人の感覚はわかりません。(レンタルDVD)
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WHAT JUST HAPPENED
104分,アメリカ,2008
監督: バリー・レヴィンソン、製作: ロバート・デ・ニーロほか、脚本: アート・リンソン、音楽: マーセロ・ザーヴォス
出演: ロバート・デ・ニーロ、ショーン・ペン、キャサリン・キーナー、ジョン・タートゥーロ、ロビン・ライト・ペン、スタンリー・トゥッチ、マイケル・ウィンコット、ブルース・ウィリス