吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

天井桟敷の人々

 午前十時の映画祭。http://asa10.eiga.com/
 

 こんなに長いとは思わなかった。何しろ「美しい」「すばらしい美しさだ」とかなんとか劇中で絶賛されるヒロインがちっともきれいに見えないので、たまらなく苦痛だった。調べてみたら彼女はこの映画の当時47歳。とっくに薹が立っている上に、昔の47歳は今よりずっと老けている。60歳ぐらいかと思いましたよ。ヒロイン=ガランスに恋する天才パントマイム役者のバティストにしたところで若くはない。だから、映画の大画面で二人がアップになると非常に苦しい。恋愛映画としては致命的な瑕疵である。これが舞台劇なら二人の実年齢は気にならなかったであろうに、と残念だ。それほど、バティストを演じたジャン=ルイ・バローのパントマイムは素晴らしく、劇中劇も面白かったのである。


 19世紀パリの「犯罪大通り」にある劇場に集まる役者や観客たちの物語は確かに波乱万丈でストーリーは巧みなのだが、大仰な台詞回しの古色蒼然たる演出には違和感を感じて、映画の世界に入り込めない。これ、リメイクしたら面白いのでは? ヒロインにはイザベル・アジャーニ、バティストにはメルヴィル・プポー、バティストを愛する座長の娘はソフィー・マルソー。もう一人の天才役者ルメートルにはんーーん誰がいいかな。



 19世紀前半のパリの下町風情も興味深く楽しいので、総天然色でのリメイク希望。

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LES ENFANTS DU PARADIS
195分、フランス、1945
監督: マルセル・カルネ、製作: フレッド・オラン、脚本: ジャック・プレヴェール、音楽: モーリス・ティリエ、ジョセフ・コズマ
出演: アルレッティ、ジャン=ルイ・バロー、マリア・カザレス、マルセル・エラン、ピエール・ブラッスール