これまでは、未来からやってくるターミネーターから逃げるというのが基本のお話だったのが、もはや舞台が完全に未来になっているところがこれまでの設定とは大いに違うところ。これまでは追われる恐怖と闘うというスリルがあったのだが、今回はむしろ窮鼠猫を噛む積極性が売りとなる。要は、「逃げる話」か「攻め込む話」か、その姿勢が大いに異なっているのである。それから、主人公ジョン・コナーが死んでしまえばシリーズが成り立たないわけだから、彼が絶対に死なないという安心感があるところがシリーズものの長所でもあり欠点でもある。
これまでのターミネーター独自のタイムパラドクス的おもしろさというのが影を潜めて普通の戦争映画になっているところは凡庸といえるが、これはこれとして楽しめる娯楽作ではある。
TERMINATOR SALVATION
114分、アメリカ、2009
監督: マックG、製作: モリッツ・ボーマンほか、製作総指揮: ピーター・D・グレイヴスほか、脚本: ジョン・ブランカトー、マイケル・フェリス、音楽: ダニー・エルフマン
出演: クリスチャン・ベイル、サム・ワーシントン、アントン・イェルチン、ムーン・ブラッドグッド、コモン バーンズ、ヘレナ・ボナム=カーター