吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

シュリ

上映時間 : 124分
製作国 : 韓国、1999年

 監督:カン・ジェギ
出演:ハン・ソッキ
   キム・ユンジン
年末にDVDを4本レンタルした。プレステ2を購入したおかげでこれからDVD三昧できるわぁ
 で、これは家族全員で見ました。もちろん、日本語吹き替え版。
 主人公の友達が、知り合いの在日コリアンにそっくりなのでちょっと笑ってしまった。その他にも、登場人物がみんなどこかで見たような人達ばかりだったなあ
 確かにとてもおもしろい。ストーリーが単純で、泣かせて、その上朝鮮半島の身を切るような現実が背景にあって、いろんなことを考えさせるうまい作りになっていた。伏線はいろいろ張ってあるのだけど(そういえばタイトルも謎を解く鍵)、わりとわかりやすいので、アクション・ロマンス・悲劇・スリル、すべてそろった娯楽作としてとてもよい出来映えである。
 が、こういうことをさらりと言えるのは日本にいる日本人だけであって、在日コリアンや韓国人はもっと身につまされて涙を流している。50年の分断の暗然たる歴史のまえに屹立したテーゼがここにはあるから。
 ヒロインのイ・ミョンヨンも恋人の諜報部員も、「革命」のために生きていることには違いがないのに(諜報部員の方は国家のため、だろうけど)、ラスト、見つめ合う二人の視線が火花を散らすとき、一瞬恋人から視線を移したイ・ミョンヨンが悲しすぎる恋の結末を自ら招く。
 恋よりも革命なんだなぁ。
 撮影には手回しが多用されていて、臨場感あふれる効果を狙っているんだろうけど、画面のぶれが大きくて見苦しさの方が勝っていたのは残念。