吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

アンブレイカブル

 昨日は9時まで仕事だった。最近、残業が多い。アー、疲れた。で、今日は久しぶりに休みをとって映画を見に行った。帰りにはウッドバーニング(木に電気筆で焼き付けていく絵画手法)の個展も観たし。リフレッシュできたかな。

 さて、この映画、怖い映画だとは聞いていたけれど、あまりにも後味が悪いんじゃない?
 鉄道事故で131人が死亡したのに、たった一人だけ無傷で生き残ったデヴィッド・ダン(ブルース・ウィリス)。彼の前に啓示者として立ち現れるイライジャ(サミュエル・L・ジャクソン)。壊れない人間としての使命にめざめて人々を救済せよと説くイライジャの言葉に触発されてヒーローとして振る舞うことを決めたダンが、教祖様にでもなるのかと思いきや、やたら暗い顔で子どもを犯罪から救う。その姿たるや、ヒーローと言うよりは魔法使いのおばあさんのよう。
 とにかく暗い映画だ。登場人物は全員低い声で静かにしゃべり、だれも大声で叫んだりしない。画面はやたら陰鬱でおまけに雨が降っている。鏡を使って凝った画像を作ったつもりなんだけど、小手先のおもしろさしか感じられない

 フィンチャー監督の「セブン」のような雰囲気を持つ映画だけれど、怖さもおもしろさも「セブン」のほうが上。

 自分が何者なのか、なぜ生きているのか、自分の居場所がわからないことがもっとも怖いことだとサミュエル・L・ジャクソン演じるイライジャは語る。古来、哲学はこの疑問に答えるために存在したのだと思うけれど、そのためにあんなことまでするかな? あんまり書くとネタばれするので伏せるけど、コミックの読み過ぎで尋常ならざる世界にはまりこんだ男の話というだけのメッセージしか受けとれない映画だった。

Unbreakable
上映時間: 107分
製作国 : アメリカ合衆国
監督・脚本・製作 : M.ナイト・シャマラン
出演 : ブルース・ウィリス
     サミュエル・L・ジャクソン
     ロビン・ライト・ペン