吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2030年ごろかも。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

アイアンマン


 アメリカ最大の軍需産業のCEOかつ天才発明家がある日過酷な捕虜生活を送った末に改心し、「今日から兵器を作るのを止める」と宣言して正義と平和の味方「アイアンマン」になる、というお話。なぁ~んだ、単純やんか。いや~、シンプル・イズ・ベスト。発明家がその才能を生かしてメカニックを独力で生み出すという過程が興味深く、メカ好きにはたまらないシーンが続出。男の子の映画ですね、これは。

 天才技術者で発明家、そして大金持ちの社長トニー・スタークは女好きでも勇名を馳せている。そんな彼が新兵器のデモンストレーションのために親友で軍人のローディと一緒にアフガニスタンにやって来るところから物語は始まる。ここでいきなりテロリストに拉致されたトニーは、新兵器を洞窟の中で作るよう強要される。ここから脱出する過程がスリリングで大変よろしい。テロリストに監禁されたトニーは、自分が作った兵器が罪なき人々を大勢殺していること、自国兵士をも殺戮している事実に衝撃を受ける。3ヶ月に亘る過酷な監禁生活の末に「アイアンマン」第1号を製作したトニーは傷つきながらも無事帰国する。彼を待っていたのは優秀な女性秘書のペッパー・ポッツと、トニーの父亡き後父代わりに会社を統帥しトニーの後見となってくれたオバディア・ステイン。

 とまあ、役者がそろったところで、物語はトニーがアイアンマンたるロボット装置に改良を加えデザインを洗練させていく過程が目を見張る。生身の人間がほんとうにマッハのスピードに耐えられれるのか不思議だったけれど、とにかくものすごいスピードで空中を駆けめぐり、戦闘機ともやり合う。秘書のペッパーとはいい仲になりそうでならないところが微妙な配置で、これはシリーズ化を最初から狙っているからね。アメコミが原作なだけにやっぱりそういうお子様テイストが抜けない部分があるけれど、主役が中年男である分、けっこう渋めの設定が効いている。ロバート・ダウニーJr.がかっこいい。制作者が本気でやっているということは、豪華な配役を見ても一目瞭然。セレブな実業家という貫禄を体現できる役者を起用しているところが狙い通り。

 でも、本物の軍需産業のCEOがそう簡単に改心したりはしないと思うよ。

 アラブのテロリストも悪者だけどアメリカの軍需会社も負けず劣らず悪者というあたりは、世界の2大悪は今やイスラム原理主義者とアメリ軍国主義であるという図式ができているということか。

 最後はタカラのガンダムロボ・シリーズみたいなお子様ランチになってしまったけど、なかなか楽しめた一作です。シリーズ化するそうで、2010年の第2作公開が既に決まっている。

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アイアンマン
IRON MAN
アメリカ、2008年、上映時間 125分
監督: ジョン・ファヴロー、製作: アヴィ・アラッドケヴィン・フェイグ
製作総指揮: ジョン・ファヴローほか、脚本: マーク・ファーガス、ホーク・オストビー 、アート・マーカム、マット・ハロウェイ、音楽: ラミン・ジャヴァディ
出演: ロバート・ダウニー・Jr、ジェフ・ブリッジステレンス・ハワードグウィネス・パルトロー、ショーン・トーブ