吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります

鑑賞してから数か月経つので細かいことは忘れているけれど、とても気持ちのいい印象が残った作品。 元教師のルース(ダイアン・キートン)と画家のアレックス(モーガン・フリーマン)は結婚40年の二人暮らし。子どもはいないが、楽しい毎日を過ごしてきた。…

海よりもまだ深く

親子役が樹木希林と阿部寛という点も、タイトルを古い流行歌からとったという点でも、「歩いても歩いても」の姉妹編と言える作品。テーマもやはり同じように日常生活のささやかな機微を描いている。 売れない作家の良多(阿部寛)は、離婚した妻(真木よう子…

君がくれたグッドライフ

36歳という若さで安楽死(尊厳死)を選ぶ主人公の最期の自転車旅行を、時にユーモラスに時に重く、最後はさわやかに描く物語。 毎年5月は自転車月間らしい。そんなもの誰が決めたのかと思いきや、一般財団法人日本自転車普及協会などが推進しているようだ。…

アイヒマン・ショー/歴史を映した男たち

この10年ほどの間にアイヒマン裁判関連の映画が何本も作られている。その裁判がどのように世界に報道されたのか、テレビを通じてお茶の間にニュースが流れたという事実にわたしは今までまったく気づかなかった。確かに1961年なら既にアメリカではテレビがか…

インサイダーズ/内部者たち

この映画は確か、3月に見たはず。後で感想を書こうと思っているうちにずるずると後回しになりました。 エログロ・ナンセンスな政治スキャンダル劇。韓国人はこういうのが好きなのか、なぜか歴代1位(R指定作品のなかでという限定付き)のヒットを収めたとい…

カルテル・ランド

この映画と「ボーダーライン」を続けて見たら、もう誰もメキシコには行きたくなくなるのでは。「ボーダーライン」は実話だったんだ! と改めて驚愕するような【閲覧注意】映像が頻出する。 本作は「ハートロッカー」のキャスリン・ビグロー監督が製作総指揮…

ボーダーライン

「灼熱の魂」「プリズナーズ」のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作。テンションの高い作品を作る人だから、この「ボーダーライン」もやはり随所に謎をちりばめ嘘をばらまき、主人公と観客をまどわせる。 アメリカ合衆国とメキシコの国境で繰り広げられる麻薬戦争の…

ヘイル、シーザー!

ハリウッド全盛時代の映画製作の舞台裏を面白おかしく見せながら、古き映画への愛と諧謔を語りつくす、冷戦とマッカーシズムへの批判を描いた社会派作品である。え? 要するに、ナンデモアリのギャグ映画ということ。コーエン兄弟は作品ごとに違う味わいを見…

ズートピア

肉食獣と草食獣の共存というテーマは日本アニメ「おまえうまそうだな」と同じだ。絵のスケールや技術力は「ズートピア」が圧倒するが、相容れない両者の軋轢や葛藤は「おまえうまそうだな」のほうが深かった。 ディズニーアニメの技術力には今更驚かないのだ…

ミルカ

原題は「走れミルカ、走れ」。文字通りインド現代史を駆け抜けたアスリート、ミルカの伝記。ものすごく真面目で重い内容なのに、やっぱり踊るところがさすがはインド映画。 ミルカ・シンは1960年のローマオリンピックにインド代表選手として400メートル走に…