吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

プリズナーズ

二時間半近い長尺をまったく飽きさせない。最後まで緊張感が持続する優れたサスペンス映画だ。「灼熱の魂」のドゥニ・ヴィルヌーヴが監督している。 郊外の住宅街で幸せに暮らす二つの家族。ひとつは工務店経営者のヒュー・ジャックマン一家、もうひとつはテ…

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ

スーパーマンとバットマンの対決に続いて、ヒーロー同志が戦うお話。こういうのが流行なんだろうか、それともネタ切れでぶっ飛んだ悪役を生み出せないために苦肉の策で考えついたのか。正義の味方アメリカ合衆国軍が活躍するたびに民間人を含めた犠牲者が増…

駆込み女と駆け出し男

ほとんど期待していなかったのに、意外な出来。コメディぽく宣伝されていたから、軽い話かと思っていたが、なかなかどうして、江戸末期の日本文学史にも触れる蘊蓄ぶりが興味深い作品であった。 音楽も美しくて、ジェームズ・ホーナーばりのメロディーライン…

おまえうまそうだな

草食獣に育てられた肉食獣がひょんなことから草食獣を育てることになり。これは憎しみの連鎖ではなく愛の連鎖。しかし、その愛は互いに葛藤があっての上のことだから、見ていて苦しくなってくる。 絵柄はシンプルなアニメ作品だけれど、描かれている内容は深…

さざなみ

原題は「45年」。結婚45周年を祝う夫婦に突然現れた過去の女性の存在が、二人の間に亀裂を生み、さざ波どころではない波風を立てることになる。 とある片田舎に住むケイトとジェフはともに教員だった夫婦。今週の土曜日には結婚45周年を祝うパーティを盛大に…

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生

「正義の味方」同士が対決したらどっちが勝つの。そりゃあ、いくら特殊スーツに身を包んでいても生身の人間であるバットマンに勝ち目はないでしょ、相手は異星人なんだから。それにしても、なんでバットマンがスーパーマンを目の敵にするのかがよくわかりま…

レヴェナント:蘇えりし者

これぞ映画! 地面の水がさわさわと波立ち、水の中から屹立する木々をカメラが舐め上げる巻頭の水辺の林のシーンで既にわしづかみされ、一気に映像世界に体ごと入っていく感覚に酩酊する。そんな、至福の映像体験ができる作品。これは文字で表すことのできな…

マジカル・ガール

人を食ったようなお話。どこに転がるかわからない展開。肝心なところはほのめかしだけで一切描かない憎たらしさ。そんな映画を面白いと思うかどうか、かなり好みの分かれる映画。わたしは前半爆睡、後半になってやっと目が覚めたけれど、そのあらぬ展開ぶり…

スポットライト 世紀のスクープ

今年のアカデミー賞作品賞受賞作。まじめな社会派作品で、社会派の王道を行く。と同時に図書館映画、アーカイブ映画でもあった。個人的には収穫の多い作品。 カトリック教会で子どもたちが神父の性的暴行の被害者になっていた事実が暴かれ、しかもその性犯罪…

ヴィジット

久々にヒットしました、シャマランのホラー。超絶怖かったと同時に笑ってしまう箇所もいくつもあって、なかなか楽しめる娯楽作。何が怖いといって、年寄り程怖いものはないということがわかったことが怖かった。 ふだん老人と接することのな子どもたちにとっ…

僕だけがいない街

意外なことに、これは図書館映画だった。主人公は昔の事件を調べるために図書館に行って、新聞の縮刷版を閲覧する。ちゃんとそういうことがわかっているっていうのは賢いね。図書館の使い方を心得ている、という点で図書館オリエンテーションになる映画では…

リリーのすべて

1930年代(映画では1920年代)に世界で初めて性転換手術を受けて男性から女性になった画家とその妻の愛の物語。 主人公はアイナー・ヴェルナーというデンマークの画家で、同じく画家(イラストレーター)の妻ゲルダと仲良く暮らしていた。ある日、ゲルダの要…

ルーム

7年間監禁されていた若い女性ジョイが、その間に息子を産み、その息子ジャックが5歳の誕生日を迎えたころ、重大な決意を固める。「部屋(ルーム)を出るのだ」と。果たして彼らは監禁犯人の隙をついて部屋から逃げ出すことができるのだろうか。 というサスペ…

サウルの息子

予想通りというべきか、途中何度も睡魔と闘い続けた2時間。恐ろしく退屈で恐ろしく負荷のかかる映画。と当時にナチスの強制収容所とは何であったのかを考えさせる、新たな視角を与えてくれる作品だ。 強制収容所の中では、一部のユダヤ人が監視役と雑用係と…