吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

2015-04-01から1ヶ月間の記事一覧

インターステラー

昨年末、劇場で見た映画。昨年のマイ・ベスト10入り作品。 前半は少々だるくて途中で寝てしまったけれど、後半、宇宙に飛び出してからは面白くてグイグイと惹かれていった。最後は圧巻の映像が。ここにクリストファー・ノーランの世界観が溢れている。 舞台…

ディス/コネクト

ネット時代にふさわしいスリリングな物語。違法ポルノサイトに登場する青年と彼を取材するテレビレポーター、ネットを通じてイジメに遭う少年、チャットにはまって詐欺にひっかかる主婦、という3つのパターンの話が並行する群像劇。それぞれのパートは登場人…

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密

現在、過去、大過去、の3つの時制をめぐりながら、いつしか天才数学者の孤独と悲しみに胸をえぐられていく物語。かつて同じテーマを扱った「エニグマ」を見たときとは随分印象が異なる。そして「エニグマ」よりもはるかにこちらのほうが面白い。 第二次世界…

ゴーン・ガール

きわめて後味が悪く、はなはだ不愉快でぞっとする作品なのに、最後まで惹きつけられてしまった。 この映画を見たのは去年の年末。半日ずっと講演やシンポジウムを聴いた後、レセプションでお酒を飲んで疲れていたから爆睡するかと危惧したが、なんのなんの、…

アデル、ブルーは熱い色

「あなたに触れたいの」「あなたが欲しいの、毎日」「わたしに触って!」 涙目のアデルが別れた恋人に向ける視線の切なさよ。ありふれた恋のありかを描くこの作品がこれほど切ないのは、ひとえに奇跡のような主演アデル・エグザルコプロスの力だ。ありふれた…

きっと、星のせいじゃない。

ヒロインの可愛らしさに惹きこまれた2時間余り。お涙ちょうだいの難病ものじゃないところがよかった。高校生の癌患者二人の切ない初恋物語だが、どこにも泣ける箇所がなくて、むしろさわやかと言うか、なんであの若さで達観できるのか、と不思議になるぐら…

砂の器

音楽だけは何度も何度も聴いた、名作と言われている作品なのに、今頃やっと見た。午前十時の映画祭、ありがたや。原作は発表当時読んだけど、松本清張の無骨な文体だから、あの小説からこんな綺麗な音楽をつけてもらえる映画が生まれるとは、と驚いたものだ…

アメリカン・スナイパー

なるほど、アカデミー賞の候補になるだけのことはある。なにしろ題材が「イラク人テロリストを160人以上殺した英雄」だし。つかみの編集も抜群によかった。天才的なスナイパー、主人公クリス・カイルが照準を定めているのは10歳ぐらいの少年とその母親らしき…

ソロモンの偽証

前編を見終わったとき、後編が待ちきれないほど面白いと思った。その興奮に比べると後編は動きが鈍い。 学校内で起きた、生徒の転落死は自殺か事故か、はたまた殺人か。真相を求めて生徒たちが「学校裁判」を始めるという前代未聞の物語。 雪のクリスマスイ…