2012-01-01から1ヶ月間の記事一覧
「黄色い星の子供たち」と同じ題材なのに、深さがまるで違う。「サラの鍵」にはベンヤミンの歴史哲学が横たわっている。「黄色い星の子供たち」を見たときには感動したし、それなりの良品だとは思ったが、「サラの鍵」を見てしまうと、前者の平板な作りが目…
今年初めての劇場映画がこれって、暗すぎたような…。 1960年、中国はその名と裏腹の「大躍進」時代にあった。百家争鳴の自由な言論が赦された一時期、一転して毛沢東は「右派」を粛清し始めた(「百花斉放・百家争鳴」→「反右派闘争」)。この映画は、「右派…
スウェーデン人のベルイマン監督が好んで描きそうな題材を、フランス人監督が描くとなるほどこうなるのか、とその国民性の違いが歴然と現れて興味深い一作。もちろんこの二者の違いは個性の差なのだが、つい国民性かと思いたくなる。 家族どうしの憎悪ほどや…
年末母子3本立ての3本目がこれ。 スペインのバルセロナから高速道路に乗って車で2時間、カタルーニャ地方の海辺にある三ツ星レストランが席数45のエル・ブリである。エル・ブリのことはほとんど知らずにこの映画を見に行ったものだから、その辺鄙さにも驚い…
年末母子3本立ての2本目。しかし、Yはこれを観ずに「ミラノ、愛に生きる」を観て、「期待外れ。普通の映画やった」とやや不満顔。わたしのほうは宇宙人のコメディを観て笑っていたが、途中少し寝てしまった。 アメリカというところはUFOのメッカである。昔か…
長男Y(大学2年生)と一緒に年末に観た3本立てのうち、1本目はこれ。本当は「サルトルとボーヴォワール」を加えた4本立ての予定だったのだが、母息子ともに寝過ごしたのであえなく断念。 実にけたたましい映画だ。最初から最後まで突っ走り通し。主役フラン…
『贋作』という新刊書を上梓した作家の講演会の場面から始まり、延々と堅苦しい講演を聞かされているのにもかかわらず、まったく飽きない。イギリス人作家ジェームズ・ミラーを演じたウィリアム・シメルの艶のある響く声、滑舌のよい英国アクセントにあっと…
これから暫くは年末にアップする時間がなかった作品を棚卸し。総ざらいして去年のベスト作品の感想を締めくくりたい。まずはユスフ三部作の最後の作品、「蜂蜜」。ベルリン国際映画祭金熊賞受賞作。 深い森の木立に木漏れ陽が煌くオープニング、そのあまりの…
年末年始を39度近い高熱にうなされて過ごすという失態のため、年末に見た映画の感想をアップすることができませんでした。とりあえずは去年のベストを発表しておきます。こんなもの発表して何の役に立つのかと思いますが、知りたいとおっしゃってくださるあ…