吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

2011-01-01から1年間の記事一覧

ゴーストライター

これは今まで見たポランスキーの作品の中では一番面白かった。お奨めのサスペンス。じっくり落ち着いたカメラも好感度が高い。 陰鬱な空、いつでも雨が降っているかどんよりと曇っているしかない暗い画面が映画全体の雰囲気を決定している。その重厚な画面作…

ミケランジェロの暗号

大変面白い娯楽作。ナチスを翻弄するユダヤ人という設定がよい。 ナチスの軍人とユダヤ人が入れ替わるという、まるでチャップリンの「独裁者」みたいな笑えるお話。タランティーノの「イングロリアス・バスターズ」ほど荒唐無稽ではなく、さりとて史実にどれ…

トゥルー・グリット

コーエン兄弟らしいひねりがない。なんか普通の西部劇だった。普通に面白い、普通に楽しめる。コーエン兄弟らしい独特のリズムやシニカルな笑いを期待していくと外される。とはいえ、ユーモアもたっぷりあるし、撃ちあいはあるし、騎馬戦やらスプラッターや…

カタチから入る素人ランナー

公式キャップに「saveMLAK」のキャラクター、MLAK(ムラック)くんを貼り付けて。公式ポーチにも同じくMLAK(ムラック)くんを貼り付け。

エンディング・ノート

「監督失格」と同じようなテーマなのにはるかに好感度が高い。 砂田麻美の初監督作品は、死と向き合う父を撮るドキュメンタリー。彼女は幼い頃から映像に親しむ家庭環境にあったため、早くから家族の姿を撮影し続けていた。そしてある日、父が末期癌を宣告さ…

初心者が挑戦するフルマラソン

10月30日、エル・ライブラリーの走る広告塔が歳も考えずに出走します。完走は絶対無理という各方面からの声もなんのその、気合と根性だけで頑張ります! マラソンなんて体力や運動能力ではないのだ、ひたすら気力と忍耐力。後ろから迫る回収車におびえつつ走…

4デイズ

これは必見作。 のっけから緊迫したシーンが続き、最後まで緊張感が途切れない。一人のアメリカ白人男性が核爆弾をアメリカの大都市3箇所に仕掛けて、ある取引を大統領に迫る、という緊迫のストーリー。男の名前はスティーブン・アーサーだが、改名してイス…

監督失格

この映画を見て帰宅した長男Y太郎(20歳)が顔色を変えていた。「すごい映画やな、これ。負けたわ…。こんなドキュメンタリーを作られたら、普通の映画は勝たれへん」 この映画の製作背景を知らずに見始めたとしたら、観客はどの時点で嫌気が差すだろうか。そ…

パレルモ・シューティング

長男Yと一緒に。 シューティングは射撃であると同時に撮影そのものを指す。「ショット」という映画用語は元々射撃を意味するのだ。以上、Yの受け売り。 主人公は夢ばかり見て不眠になっている写真家のフィン。彼は成功した写真家であるにもかかわらず、自信…

アジョシ

エル・ライブラリーが参加し、4人のライブラリアンがボランティアで手伝ってくれたチャリティバザー後の打ち上げはビアガーデンで。涼しくて気持ちよく、青空も見えたけれど、陽が落ちてくると今度は寒くて震えた。 宴会が終わった後、「4デイズ」を見るか「…

世界侵略:ロサンゼルス決戦

ここのところ余りにも忙しくて映画を見に行く時間がなかったので、久しぶりの映画館にほっとする。 本作はいかにも金がかかっているハリウッド作品。今年は宇宙人に何度も侵略されるロサンゼルスであるが(「スカイライン--征服」)、「トランスフォーマー3…

ザ・ロード

全編ただならぬ暗さ。人類が滅亡の危機に瀕している原因は核戦争なのか天変地異なのか疫病なのか、まったく明らかにされないけれど、昼なお暗く、まるで「核の冬」(核戦争により地球上に大規模環境変動が起き、人為的に氷期が発生する、というもの。核兵器の…

ずっとあなたを愛してる

クリスティン・スコット・トーマスの熱演に尽きる、というべきか。妹役のエルザ・ジルベルスタインもとても愛らしくてよかった。 クリスティン・スコット・トーマスは不思議な女優だ。「イングリッシュペイシェント」の時には妖艶な人妻だったが、本作では老…

再会の食卓

分断国家の悲劇を描いた物語。上海を舞台とする一家族の苦悩は、食卓でのご馳走をみんなが囲むことで描かれる。実に美味しそうな心づくしの料理が並ぶ。一つ一つの料理に込められた気持ちが痛いほど嬉しく悲しい。 国共内戦によって引き裂かれた夫婦が40年ぶ…

黄色い星の子供たち

ナチスのホロコーストを描く映画は数多く、今さら感があるのだが、フランスでのホロコーストについて描いた映画は珍しい。黄色い星はユダヤ人たちが胸に着けさせられたワッペンであり、その一つ一つに微妙に手作り感があってなんとなく微笑ましかったりする…

ザ・ファイター

これまた素直な映画。ストーリーにひねりがないのは実話ベースだからしょうがないか。その分、みどころは役者の演技である。アカデミー賞助演賞をダブル受賞の二人の役者の演技が楽しみで見たのだが、これはもう期待通り。特にクリスチャン・ベイルはバット…

RED レッド

出てくるだけで笑いを誘えるジョン・マルコヴィッチ。出てくるだけで郷愁をそそるブルース・ウィリス。出てくるだけで跪(ひざまず)きたくなるヘレン・ミレン。出てくるだけで余裕綽々のモーガン・フリーマン。でてくるだけで怪しいブライアン・コックス。…