吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

サブウェイ123 激突

デンゼル・ワシントンとジョン・トラボルタは同い年、1954年生まれであります。中年二人ががっぷり四つに組んだ会話劇。もちろん血みどろアクションではあるのだけれど、白眉はアクションよりもこの二人の絶妙の会話にある。トラボルタがはまり役の悪人を演…

トイレット

眠くならなかったというのは、面白かったということかもしれないが、しかし、そういうのとはちょっと違う。やっぱりこの人の映画は「かもめ食堂」しかダメかも? 思わせぶりが過剰で、いったい何がいいたいのかうまく伝わってこないのだ。それは受け取る側の…

ミックマック

「アメリ」のジャン=ピエール・ジュネ監督の最新作。わたしには「アメリ」よりかなり面白かった。美術の懲り方なんて、ゾクゾクする。「ミックマック」とはフランス語で「いたずら」の意味という。文字通り、ノンストップの壮絶ないたずらが繰り広げられる…

真実の行方

なんだか既視感があったので「見たことあるようなあるようなあるような…」と思いつつ。で、突然「見たわ、これ」と気づいた。しかしこれはよくできた作品で、2回目でもずいぶんと面白い。結論はうっすらと覚えていたが、途中経過はすっかり忘れていたから、…

クヒオ大佐

結婚詐欺師のクヒオ大佐が叫ぶ。「僕は誰も騙しちゃいない。彼女たちが望むようにしてやっただけだ」。これが詐欺の本質だろう。後期資本主義じたいが詐欺なのだ。需要のないところに供給を生む、詐欺だ。人々の欲望をたきつけ、欲望に火をつける。欲望と願…

終着駅 トルストイ最後の旅

ここのところ睡眠が不規則で、この映画のときは予告編の時点で既に爆睡状態。本編が始まっても寝ていて、15分ぐらい経ってやっと目が覚めたので、最初のほうがわからない。集中力に欠いてしまったので、惜しいことをした。とはいえ、ヘレン・ミレンのきりりと…

悪人

今年の日本映画ナンバー1が決まり。 淡々としながらも緊張感が途切れない、リアリズム重視の演出は、実はリズムを計算して作ってある。一見地味でただじっとカメラが映しているだけのようなカットにも、絶対にここで切らなければ呼吸が合わない、あるいは、…

君が踊る、夏

仁淀川の沈下橋や四万十川が映る、個人的にとても懐かしい映画。家族旅行で訪れた高知の町角や山や川が素晴らしく美しい。子どもたちが小中学生のころにカヌーで川下りをした仁淀川や四万十川が懐かしい思い出だ。 5年以上の延命率ゼロと言われている小児癌…

バイオハザードIV アフターライフ

3Dで鑑賞。ミラ・ジョヴォヴィッチのおばさん化が進んでいる。戦闘服よりも割烹着を着せたほうが似合っているのではないか? さすがに体型はスリムだが、顔がいけません、顔と髪型が。 この映画、ストーリーの辻褄は?とか、設定が、とか、世界観が、とか余…

レクイエム

気が付けば今日は9.11。あれから9年が過ぎた。ということは、今日から10年目が始まるのだ。根深い憎悪と復讐の連鎖はやむことがないのだろうか? わたしたちは解を持たない問いの回りを永遠にさまよわなくてはならないのだろうか? 9.11のこの日は今日にふさ…

カラフル

死んだ男の魂が、天使の導きにより、自殺したばかりの中学生の体に入り込む。「修行」することによって、その男は輪廻転生のサイクルに入ることができて、もう一度生まれ変われるのだ。しかし、「修行」とは何か? 男は生前、とても大きな過ちを犯したのだと…

さよなら。いつかわかること

妹役の子が超かわいい。ぼってりしているので「クマちゃん」と呼ばれている。確かに(^_^)。音楽もすごくいい。静かでしみじみとしている。あ、なんと、クリント・イーストウッド作曲だった! ものすごく小さな世界を思い切り煮詰めて描いていて、戦死した母…

ヒックとドラゴン 日本語吹替3D

桃太郎の鬼退治ならぬ、鬼馴致の物語。利害が一致しないものは力づくで抑えるのではなく懐柔すればよいという、なるほど9.11以後の映画であることよ、と思う。3Dアニメの質感が、昔見たNHKテレビの人形劇を髣髴とさせてとても懐かしい。 ストーリーはさほど…

キャタピラー

寺島しのぶがベルリン映画祭で最優秀女優賞(銀熊賞)を獲ったというニュースが話題になり、若松作品だというのに(失礼)、大ヒット満員御礼が続いていた。ようやく平日の昼間は空席ができるようになったみたい。寺島が感激のあまり、熊の像にキスしていた…

コレラの時代の愛

最後は感動した、長い長いお話。主人公の性格づけが矛盾しているのは、ガルシア=マルケスの筆の誤り? それともその矛盾を大らかにとりこんでこの大河物語を読みなさい、という作家の意図か。 何度も何度も時間軸を行きつ戻りつしながらも着実に未来に向か…

薔薇の名前

午前十時の映画祭、何度見てもすごい50本。http://asa10.eiga.com/ いや実にこの企画は大成功です。昔の映画なんて誰が金を払って観るのか、という主催者側の危惧を見事に裏切って予想外の大ヒット。この映画もほぼ満席だったし、来年もまた同じ企画をやるら…

インセプション

昔、遊園地の「びっくりハウス」に入るのが好きだった。騙し絵があったり、合わせ鏡の部屋や歪んだ鏡の部屋、床が沈む部屋、いろいろ視覚的トリックがあった。この作品は、基本的にそのびっくりハウスを映像でやったらどうなるか、をとことん追求した作品だ…