吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

2010-05-01から1ヶ月間の記事一覧

タクシデルミア

これほど見るまでに時間のかかる映画もない。わたしにとっては冷や汗ものの気色悪い映画であることは間違いなさそうなのに、でも小麦さん(http://www.comugi.cc/cgi-bin/diary/200803.html)が「絶対見てね!」と念押しするし、うーーーーーむ。勇気を振り…

正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官

移民の国、アメリカ。その寛容と不寛容を描き、9.11後のアメリカの良心を問う必見の力作。「クラッシュ」(http://d.hatena.ne.jp/ginyu/20060329)に似た群像劇。完成度は「クラッシュ」のほうに軍配が上がるが、こちらも素晴らしい力作だ。2009年マイベス…

屁爆弾さんのコメント

この「はてな」日記に引っ越す前、わたしはgooブログを利用していた(その前はlivedoor)。そのときに書いた「おくりびと」の映画評に屁爆弾さんが久しぶりにコメントを書いてくださっていた。gooブログを利用していた1年半ほどの間に屁爆弾さんがコメントを…

フェーズ6

「28日後」をパクろうとして失敗した作品、というのが長男Y太郎(大学1年)の評価。わたしは、極限状態での人間性を問う作品として面白く見た。全然評価が違うところが面白いというか、映画に何を求めているのかがまったく違うということを改めて知った次第…

訃報:屁爆弾さん

昨日、4月29日のエントリーのコメント欄に短く書きましたが、hebakudan(屁爆弾)さんが5月3日に亡くなられました。声に出していいにくいハンドルネームですが、女性です。このハンドルネームから分かるように、一筋縄ではいかないような強烈な個性を発揮す…

プレシャス

人種差別、貧困、家庭内暴力、性的虐待、近親相姦、エイズ、障害児、……こんなに暗い話を、この歳になって見るのは辛すぎる。若いころはけっこう暗い映画が好きだったが、歳を取ると、暗さの中になにか救いがあるような映画でないといやになる。今の自分の状…

イングロリアス・バスターズ

昨年、息子二人を連れて鑑賞。タランティーノらしくない、妙に真面目な雰囲気。予告編で抱いたイメージとは随分違う。 冒頭から音楽が西部劇。タランティーノの音楽の使い方がなんともオールディーズに凝っていて、唸らせる。映画オタクだけあって、古い映画…

第9地区

「こんなに主人公に感情移入でけへん映画も珍しい。ふつうはだんだん主人公に入れ込んでいくもんやのに、こいつは最後までへたれで自己チューで、おまけに最後は惨めで…」とはY太郎(大学1年)の弁。でも、面白がっていたからいいんではないでしょうか。 エ…

息もできない

この映画はおそらく来年の初春には、日本でも多くの映画賞を受賞しているだろう。決して「感動した」とか「見て良かった」と思えるような作品ではない。わたしが好きな種類の映画ではないのだが、それでも深く心に残る余韻を残す<傑作>だ。 わたしの記憶に…

フォロー・ミー

「午前10時の映画祭、何度みてもすごい50本」第11週。 その昔、まったくいいと思わなかった映画が今日はわたしを泣かせるとは! 気色の悪いおばさんとしか見えなかったミア・ファローがあんなに愛らしかったなんて! この映画に感動できるのだから、歳を取る…

ベッドの中で

ジュリエット・ビノシュ似の女優が、鼻が大きくてちょっとわたしの趣味ではなかったのが減点。男優はなかなかよかったけど、「鳥顔」と言われて、そういえば、とよくよく見れば確かに鳥顔。だから、美男美女を期待しないほうがいい。この作品は、なによりも…

風の痛み

巻頭数分で「ああ、これは原作小説のある映画だな」と気づいた。それほど詩的で知的な雰囲気に満ちた作品。夢の中の場面が何度も登場するその処理がとても品良く、ファンタジー色に彩られているとはいえ現実から遊離した感じがしない。スイスの暗い空のもと…

NINE

なんという解りやすさ。これは「8 1/2」の解説書のような映画だ。このおかげで、オリジナルのわかりにくかったところがすべて霧が晴れるようにすっきりした。しかしここには<苦悩>はあっても<狂い>はない。悩めるイギリス人はいても浮かれたラテン男は…