吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

GF*BF

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 1985年から27年にわたる三人の青春物語。巻頭は2012年。双子の姉妹が高校で校則反対運動を華やかに陽気にはじけるように始める、その瞬間から始まる。姉妹の父親が学校に呼び出され、そこから物語は一気に1985年の台湾へと飛ぶ。戒厳令下に抵抗運動が盛んだった時代、高校生だった男子2人と女子1人の三角関係はその後もずっと続き、彼らは大学で学生運動に身を投じ、やがて台湾の民主化は実現するが、彼らの恋愛は自由を獲得できない。
 前半の演出がもっさりして途中で見るのがいやになったのだが、我慢していたら、最後はとても切なくていい映画だった。ただし、省略が過ぎるのではないか。人間関係がわかりにくい。美宝(メイバオ)、忠良(チョンリャン)、心仁(シンレン)という若者三人がたどる十数年の恋と友情の物語は、紆余曲折を経て、結局のところ、誰一人として本当に欲しいものは手に入らないという切ない幕切れ。それでもその切なさの向こうに今の幸せがある、と思わせるラストだった。一人の女を取り合う三角関係ではないというところが、この三角関係が永遠に解決しない哀しいところ。そう、求めるものが手入れられないからこそ、人生は味わいを深めるのかもしれない。(レンタルDVD)

女朋友。男朋友
105分、台湾、2012
監督・脚本:ヤン・ヤーチェ、音楽:ジョン・シンミン
出演:グイ・ルンメイ、ジョセフ・チャン、リディアン・ヴォーン、チャン・シューハオ