吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!

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 リュック・ベッソンの製作・脚本と聞いた瞬間に「ああ、そういう映画ね」と思って見に行ったら、やっぱりそういう映画だった。んで、上官役にJ・K・シモンズが登場した瞬間に「ああ、そういう役ね」と思ったら、やっぱりそういう役だった。
 というわけで、一切の期待を裏切らない、痛快B級アクション。
 時代を1995年に置いたのは、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦争真っただ中という設定にしたかったからだろう。NATO軍の戦力としてヨーロッパに駐在していたアメリカ海軍特殊部隊(シールズ)の荒くれ男たちの活躍を描く。じつはこれ、アメリカ映画じゃないんですよね。だから、主役の5人のネイビーシールズを演じている役者にアメリカ人はいない。
 で、巻頭いきなり敵軍の独裁者を拉致する場面から始まり、戦車戦のドンパチで観客の目を釘付けにしたあとは、荒くれ5人組がナチスの財宝を水中から引き上げるという極秘作戦(といっても任務じゃないからね)に着手する、というお話。豊臣秀吉の金塊よりは現実味がありそうなナチスの金塊は、町ごと沈められた湖の底に眠っているという情報を入手したネイビーシールズの面々が謹慎処分を受けたのをこれ幸いに、ミッションインポッシブルを敢行して引き上げられることとなり。それもこれもある意味、義憤にかられたというか、「故郷の再興のために使いたい」という地元美女の懇願にほだされたから。もちろん分け前ももらいますよーん。
 というわけで、敵軍が迫る中をナチスの金塊求めて水中戦が繰り広げられる。湖底に沈んだ町はすべてセットで作ったというからお金がかかっている。巻頭の勢いのあるアクションと違って水中は暗いしスピードも落ちるので、見ているうちに眠くなってくる。という難点はありながらも、ユーモラスな脚本といい、最後の落ちのよさといい、なかなかに楽しめる一作。こんなアメリカ万々歳みたいな映画をフランス人が作っちゃうなんてねーと思いながら見ておりました。

RENEGADES
105分、フランス/ドイツ、2017
監督:スティーヴン・クエイル、製作:リュック・ベッソン、脚本:リチャード・ウェンク、リュック・ベッソン、音楽:エリック・セラ
出演:サリヴァン・ステイプルトン、チャーリー・ビューリー、シルヴィア・フークス、ジョシュア・ヘンリー、J・K・シモンズ