吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

リミットレス

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Amazonプライムで無料配信。これまた頭を使わない作品だと思って鑑賞。期待通り頭を使わなかったのでよかった。観客が頭を使わない代わりに、主人公はやたら頭を使うのである。人間の脳は普段ほとんど眠っているのだが、それを覚醒させるとどうなるか、というお話。
 なんで脳の活性化が可能になるかと言えばそういう新薬が密かに発明されたから。で、それを怪しい男から手に入れた主人公エディが100パーセント活性化した能力をフルに活用して輝かしい成功を手に入れる、というお話。エディは売れない小説家で、ちっとも筆が進まないのだが、その薬のおかげでスイスイと作品が書けてしまう。しかし彼は気づく。「なんだ、小説なんか書いているより、株でもやって儲けるほうがいいじゃん」
 というわけでさっぱりと小説はやめて株の投資にのめり込み、彼は驚異の記憶力と直観力と洞察力であっという間に投資で莫大な儲けを出す。彼の才能にほれ込んだ投資家からも声がかかり、今や彼の人生は輝かしい成功へと導かれていたのであった!
 などという美味しい話はいつまでも続かないんだよ。よく効く薬は毒と同じ、副作用に苦しむエディにはヤクザな男たちとの活劇も待ち受ける。追いつめられて絶体絶命の危機、もう死ぬしかない! という場面でエディは頭脳をフル回転させてこの危機をどうやって突破するのか。
 スピーディな演出と程よく配置されたアクションシーン、美女(アビー・コーニッシュ)も登場し、娯楽映画の粋を集めてみましたという作品。最後まで面白く見られたけれど、結末には納得できない人が多いだろう。
 優秀な頭脳を使って小説を書くよりも金儲けに走るという道を選んだ時点で人間としてどうよ、と思うのが「良識派」であり。いや別に金儲けそのものが悪いというわけではないんだけどね。薬の乱用は怖いですよ。

LIMITLESS
105分、アメリカ、2011
監督:ニール・バーガー、製作:アーウィン・ゲルシーほか、原作:アラン・グリン『ブレイン・ドラッグ』、脚本:レスリー・ディクソン、音楽:ポール・レナード=モーガン
出演:ブラッドリー・クーパーロバート・デ・ニーロアビー・コーニッシュ