吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

素晴らしきかな、人生

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 これは一つの奇跡物語。クリスマスシーズンなどにぴったりなお話なのだが、季節は関係なかったみたい。ストーリーのこじつけぶりが気に入らない人には白けた映画になるだろうが、素直に物語に入っていけるファンタジー好きな人には大きな感動がもたらされるだろう。自分がどっちのタイプか知りたい人にはぜひお薦めしたい。かの名作「素晴らしき哉、人生!」とは何の関係もない映画で、原題がそもそも全然違うのだが、なんで邦題が同じなのかはよくわからない。天使が登場するという点が似ているのかもしれないが、フランク・キャプラの作品はあくまでもファンタジーであり、「本物の天使」が登場したが、こちらの作品では天使は偽物だ。

 舞台は現代のニューヨーク。6歳の愛娘を病気で失って失意のどん底から立ち直れないハワードは、自らが経営する会社の業績を傾けさせても無関心だ。業を煮やした同僚たちが、止む無く社長であるハワードを解雇することになるのだが、その前に彼をなんとか立ち直らせようと策を練る。同僚三人が思いついた計画とは、舞台俳優を3人雇ってそれぞれに「人間ではない何か(愛、時間、死)」の役を演じさせ、ハワードに奇跡を起こさせようというもの。果たしてその計画はうまくいくのか。
 ヘレン・ミレンが全身青づくめの衣装で登場した瞬間の美しいこと! 老女ではなく素敵なおばあさんに変身! この衣装のセンスが抜群によくて、彼女にとてもよく似合っている。青を選んだのはヘレン・スミス自身らしいが、自分に似合う色をよく知っているもんだ、さすがは大女優。

 誰一人悪人が登場しなくても人は不幸になるものだ。誰にも罪がなくても人は傷つけあうものだ。そんなとき、傷を癒すのは誰だろう。どうやって人は立ち直っていくのだろう。そしてどうやって自らの死に向き合っていくのだろう。いろんなことを考えさせてくれる、佳作。ラストシーンは微笑みながら見たいけど、号泣ものです。脚本はよく練られていて、練りすぎかもと思えるほど。箴言に満ちたセリフの数々はキリスト教圏の人々がこういう言い回しに慣れているからこそ登場させられるのかもしれない。日本映画ならこういうのはキザに思えて観客を白けさせる危険性もある。
 さてラストシーン。あの3人は本当に……だったのでは?

COLLATERAL BEAUTY
97分、アメリカ、2016
監督:デヴィッド・フランケル、製作:バード・ドロスほか、脚本:アラン・ローブ、
音楽:セオドア・シャピロ
出演:ウィル・スミス、エドワード・ノートンキーラ・ナイトレイマイケル・ペーニャナオミ・ハリスケイト・ウィンスレットヘレン・ミレン