吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

X-MEN: アポカリプス

 アクションシーンが単調なので飽きてしまって途中少し爆睡。
 プロフェッサーが髪の毛ふさふさ状態から一気にスキンヘッドになってしまう原因や経過が見られたのがなによりも驚愕かつ感動的だった。

 マイケル・ファスベンダー目当てで見に行った本作で決定的に気付いたことは、この人には哀しい役が似合うということ。いつもいつもこれ以上ないというほどの悲哀をたたえた瞳をしている。彼に魅かれてしまう原因がそこにあったことにようやく気付いた。
 で、マイケル・ファスベンダー以外のところは既にほぼ忘れている(汗)。

 このシリーズは善悪の戦いが単純な二元論ではなく複雑にねじれているところが魅力だった。また、異形のミュータントがその姿のままで人間社会との共存は可能か、という問いかけがクリティカルで興味深かったのだ。その意味ではだんだんシリーズが持っていた深みがなくなってきているのは残念。

 今回は史上最強のミュータントである古代エジプト時代の恐るべき敵が1980年代によみがえる、というお話。この新シリーズは旧シリーズの前日譚を10年刻みで描いていくという趣向だ。60年代は冷戦真っ最中のキューバ危機が背景になっていて、政治史の確認という意味で面白かった。70年代はプロフェッサーがヒッピーふうだったのが意外だったし、ベトナム戦争の終結が描かれていて、現代史を考えさせる題材を提供していた。で、今回の80年代はいろいろと個人的には懐かしい。登場人物たちが「スターウォーズ」の第3作を見終わって劇場から出てくるシーンで、「シリーズものは第3作がダメなのよ」と喋っているのがツボだった。

 しかし、80年代的な面白さがどこにあったかというと、よくわからない。わたしが覚えていないだけか? とにかく目が覚めるようなシーンがほとんどなくて、むしろ眠くなる一方。派手なドカーン、バキューン、という音がして花火のような光線が発射されるだけで、それはアクションものとしても見所が少ないと言える。超能力を発揮しているといっても、そのシーンはやたら気張っているマグニートーの顔と手を映すしかなくて、芸がなさすぎる。
 あ、例外的に面白いシーンを忘れていた。それは超高速で移動が可能なクイックシルバーだ。彼にとってはすべてが止まって見えるほど遅いから、飛んでくる弾もひょいとつかんでポイと捨てられる。その技をストップモーションシーンで見るのが楽しい。これは「フューチャ・アンド・パスト」でもお馴染みになったもので、今回も見られたのは大満足。

 シリーズの掉尾を飾り、旧作へとつながるサーガがここで完成したとなると、まるでスターウォーズ六部作のようではないか。思わず、旧作第1作に戻って見直したくなるところが憎い。やっぱり最後までちゃんとシリーズは観ないとね。

X-MEN: APOCALYPSE
144分、アメリカ、2016 
監督: ブライアン・シンガー、製作: サイモン・キンバーグ、ブライアン・シンガーほか、脚本: サイモン・キンバーグ、撮影: ニュートン・トーマス・サイジェル 、音楽: ジョン・オットマン
出演: ジェームズ・マカヴォイマイケル・ファスベンダージェニファー・ローレンスオスカー・アイザックニコラス・ホルトローズ・バーンヒュー・ジャックマン