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吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

X-MEN:ファースト・ジェネレーション

 エックスメンシリーズの冒頭に戻るお話で、いかにしてエックスメンという集団が生まれたのかを描くのが本作。

 宿敵同士のプロフェッサーXとマグニートーが若いころは親友だったとか、彼らの生まれ育ちの違いが思想と理想の分裂を生むことが描かれて非常に興味深い。

 マグニートーナチスの収容所で母親を殺され、その仇を討つために復讐の権化と化し、やがては暴力を辞さない人間になっていくところは、ホロコーストを生き残ったユダヤ人が好戦的なイスラエル国家を建設したことと重なって見える。金持ちのボンボンで頭のいいプロフェッサーが融和主義者なのも首肯できる。マグニートーはどうしてヘルメットを被っているのか、なぜプロフェッサーが車椅子生活になったのかが描かれていて、これまでのシリーズで欠けていたパズルが一つずつ埋まっていく心地よさがこの映画にはある。

 1962年のキューバ危機にミュータントが絡んでいたという荒唐無稽なお話も大変面白くてよくできている。米ソの対立を裏で操る謎の男がケヴィン・ベーコン演じるミュータントで、この憎々し気な悪役ぶりが板についていてこれも大変よろしい。今から考えるとなんであんなに米ソは対立していたのだろうかと、冷戦時代が謎に思えてくる。ミュータントという共通の敵の前には手を組んで見せる米ソの狡猾さも現在の現実の国際政治を見るようで、このシリーズが決して子供騙しの漫画映画ではないことがわかる。

 ミュータント一人ずつのキャラクターもきちんと描きわかれており、後にミスティークとなるレイブンの愛らしさも特筆もの。ミュータントたちが自分の能力を制御し成長させていく過程もスピーディな演出で描かれており、アクションシーンの派手さだけではなくて、演出全体にメリハリがあって退屈しない。子どもから大人まで楽しめる。(レンタルDVD)

X-MEN: FIRST CLASS
131分、アメリカ、2011 
監督: マシュー・ヴォーン、原案: ブライアン・シンガー、脚本: マシュー・ヴォーン、ジェーン・ゴールドマン 、アシュリー・エドワード・ミラー、ザック・ステンツ、撮影: ジョン・マシソン、音楽: ヘンリー・ジャックマン
出演: ジェームズ・マカヴォイマイケル・ファスベンダーケヴィン・ベーコンローズ・バーンジャニュアリー・ジョーンズオリヴァー・プラットジェニファー・ローレンスニコラス・ホルト