読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章

f:id:ginyu:20160831132935p:plain

 今回は中高年に絶大な人気を誇る(?)リチャード・ギアをゲストに迎えたのはいいけれど、お話は新鮮味がなく、続編の難しさを感じさせるものとなってしまった。

 インドにある、外国人観光客向けのホテル「マリーゴールド」では、イギリスからやってきた高齢者がすでに完全に住み着いてしまったので、もはやホテルと言うよりアパート化している。前編から4年が経ったことになっているが、映画を観ている限り、そんなに経っているとは思えない。若きオーナーのソニーは毎朝9時に客の点呼を行う。夜中に亡くなっている人がいないかを確かめるためだ。今や、客たちはそれぞれにインドで仕事を見つけて根付いてしまったので、このホテルは拡大の余地がない。マギー・スミス演じるミュリエルはソニーの共同経営者ということになっているが、いつの間にそういう展開になったのだろう?

 前作ではジュディ・デンチが演じるイヴリンの独白によってストーリーが展開し、群像劇をうまくまとめたのだが、今回はそのまとめ役がはっきりしないので、話が散漫になってしまった。散漫になったというよりはリチャード・ギアのエピソードに中心を持って行ったために無理やり感がつきまとう。ソニーがむきになってリチャード・ギアを優遇するのもあまりに漫画的で、わたしは昔の吉本新喜劇を思い出してしまった。

 老人たちの老いらくの恋あり、そそっかしく頼りないソニーの結婚話あり、中高年の第二の人生の花があり、そしてもちろんダンス! イギリス映画であろうが舞台がインドなんだから当然踊りはあります。これが楽しい。今回はダンスシーンが見ものだ。

 インド人運転手の存在がとても胸にしみてよかった。多くを語らず、ただひたすら「女主人が二股かけてる恋人」のもとへと送り届ける忠実な運転手。彼の生活、彼の家族にふと興味を持った女主人の心の襞が手に取るように伝わり、彼女の「二股の恋人」のエピソードが余韻を残した。途中までは「なんじゃこの続編は」と思っていたのだが、最後にちゃんとこうしてじんわりと着地させたところはさすがと言えよう。しかしまあ、もう第3章はないでしょうね。

 「老いは人生の終点ではない、新たな出発である」というミュリエルの言葉のような老境に至れれば、と憧憬の思いを抱いた。まあ、無理。(レンタルDVD)

THE SECOND BEST EXOTIC MARIGOLD HOTEL
123分、イギリス/アメリカ、2015 
監督: ジョン・マッデン、脚本: オル・パーカー、音楽: トーマス・ニューマン
出演: ジュディ・デンチマギー・スミスビル・ナイ、デヴ・パテル、ペネロープ・ウィルトン、セリア・イムリー、ロナルド・ピックアップ、ティナ・デサイ、リレット・デュベイ、ダイアナ・ハードキャッスル、デヴィッド・ストラザーンリチャード・ギア