吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

インデペンデンス・デイ:リサージェンス

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 S次郎(23歳)の運転でレイトショーへ。公開第1週の土曜夜とあって観客の入りが良い。Sと二人で見る映画ってこういうわかりやすい娯楽作品ばかりだから、楽しい。
 見終わって開口一番、「アメリカ人が見たがる要素がすべて入っていたなぁ」「観客が何を求めているか、よくわかっている映画や」と母子で語り合う。Sのお気に入りのキャラクターはアフリカ人の戦士。「これだけハイテク兵器が潤沢にあるのに、二刀流でエイリアンを切り倒すなんてなぁ」と笑っていた。もう一人、マッドサイエンティストみたいな変人科学者。これもまたSのお気に入り。前作公開のときは3歳だったSは、「前の作品に出てる人がいっぱい登場してたらしいなぁ。それがわかってたらもっと面白かったのに」と言っていた。そうか、彼は幼児だったのだから見ていないはずだ。てっきりDVDででも予習しているのかと思ったが、前作を知らずに見ていてもそれなりに楽しめたようだ。

 で、わたし自身は前作をものの見事にすっかり忘れてしまっているのだが、それでもビル・プルマンが大統領だったことは覚えていたし、アメリカ人の自国大好きぶりも鼻についたことが印象に残っている。今回も路線はたぶん同じなんだけどほとんどギャグ映画になっているのはどうしたわけだか。笑いを取りに行くシーンが多くてそれはそれで楽しいけれど、緊迫感が一切ない。登場人物のダイ・ハードぶりが半端なくて、これほど主要人物に戦死者が出ない戦争映画もないもんでしょ。ほとんど死なないのものだから、逆に誰が死ぬのかを予想する楽しみがありそう。

 圧巻は地上にあるものすべてが空中に浮きあがり持ち上げられるシーン。これはいくらCGで何でもできるとはいえ、すさまじい迫力だった。巨大津波のシーンも恐ろしかったが、あの津波を受けても死なない爺さんってどうよ。船の舳先に引っかかって生きているなんて、ありえーん。

 宇宙人の造形がワンパターンなのは気になるが、これは「エイリアン」以来のお約束になってしまった感がある。昔のタコ火星人時代が懐かしい。女王蜂みたいなエイリアンに追いかけられてスクールバスが右往左往する場面の既視感はもちろん「ジュラシック・パーク」へのオマージュだ。過去作にきちんと敬意を払っているところはよろしい。最後の最後まで山場に次ぐ山場だから、決してお客様を退屈させません。ポップコーン片手にどうぞ。中国人美女も出ますので、13億人の市場への目配りもばっちり。

 続編できそうですなー、次は宇宙戦争ですか。路線がかなり変わっちゃうけど、まあ次も見に行くことになりそうな悪い予感が(笑)。

INDEPENDENCE DAY: RESURGENCE
120分、アメリカ、2016
製作・監督: ローランド・エメリッヒ、製作: ディーン・デヴリン、脚本: ニコラス・ライトほか、撮影: マルクス・フォーデラー
出演: リアム・ヘムズワースジェフ・ゴールドブラムビル・プルマンマイカ・モンローシャルロット・ゲンズブール