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吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

ダーク・プレイス

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 ダーク・プレイスは心の闇。主人公の心に28年間住み続けた闇は晴れるのか。8歳の時に家族を惨殺され、しかも兄がその犯人として投獄されたリビーが主人公。28年経って明かされる真実は、彼女を生き直らせるのだろうか。

 リビー役のシャーリーズ・セロンはあの美しい顔で一度も笑うことがない。常に不機嫌でぶっきらぼうで投げやりだ。28年間、一家殺人事件の幼い被害者として人の善意や寄付によって生きていた彼女は自分で働いたこともなく、ついに蓄えが底をつく。野球帽をかぶってシャツとジーンズ姿の、およそ色気のない恰好に終始している。

 物語は1980年代の28年前と21世紀の現在を往復し、過去の事件の犯人に近づいていく。リビーは「殺人クラブ」というけったいな謎解き同好会に誘われ、報酬目当てにしぶしぶ自分の過去の事件を調べ直す羽目に陥る。刑務所にいる兄と久しぶりに面会し、彼は「兄さんが殺したの」というリビーの問に「違う」と答える。複雑にからまりあった事件の真相に迫るリビーと殺人クラブのメンバー。過去に向き合うことを躊躇い恐怖するリビーだったが、閉ざしていた記憶が少しずつ解き放たれると、そこには意外な事実が横たわっていた。

 1980年代のアメリカで若者に流行した悪魔崇拝、農業不況、母子家庭の貧困、といった社会問題がとぐろを巻いて観客の前に立ち現れる。その暗さやおぞましさに、アメリカ社会の底知れない病を見る思いだ。
 この作品の監督は「サラの鍵」のジル・パケ=ブランネール。過去と現在を行きかいつつ事件の真相に迫っていく演出の冴えはさすがだ。ただ、題材ゆえか、「サラの鍵」のような感動はない。

 大人になることを拒否した不機嫌なリビーがついに本当の自分を取り戻して、自らの手で人生を生きていくことができるのかどうか。それが可能になる光が見えたところで終わるのが、この作品の救いだ。

 クロエ・グレース・モレッツはだんだんビッチ演技が板についてきた。あの愛らしい顔と裏腹な性格の悪さがたまらない。

DARK PLACES
113分、イギリス/フランス/アメリカ、2015 

監督・脚本: ジル・パケ=ブランネール、製作: ステファーヌ・マルシル、シャーリーズ・セロンほか、原作: ギリアン・フリン、撮影: バリー・アクロイド、音楽: グレゴリー・トリッピ
出演: シャーリーズ・セロンニコラス・ホルトクロエ・グレース・モレッツ、タイ・シェリダンスターリング・ジェリンズ、コリー・ストール、クリスティナ・ヘンドリックス