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吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

マイケル・ムーアの世界侵略のススメ

映画

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 マイケル・ムーアが、世界各国の良いところを「侵略の成果としてアメリカに持ち帰る」というプロジェクト。
 侵略される国はイタリア、フランス、フィンランド。。。。と、ヨーロッパばっかりやんか! 日本は? 日本は侵略される価値がないのか?!

 まずはイタリアに侵略に行ったムーア監督。画面にはイタリアの地図と共に「イタリア。有名人はイエス・キリスト、ドン・コルレオーネ、スーパー・マリオ」というテロップが流れる。まずはずっこけの大笑い。あとはマイケル・ムーアのいつものようなお得意の編集の妙が冴える。いったいどこから探してくるの、その映像。という古い実写フィルムやらアニメやらニュース映像やらが目白押し。
 で、ムーア監督がイタリアから盗もうとするのは「有給休暇」。年に8週間の有給休暇、というイタリア人にはびっくり。休みすぎやろ!! アメリカ人でなくても驚くわ!

 次にマイケル・ムーアが行ったところはフランス。ここで盗むのは「給食」。なんと、小学校の給食がフルコースのフランス料理ですよ! コカ・コーラなんか出ませんよ! 自動販売機もありませんよ! 冷凍食品なんか使いませんよ! シェフが作るんですよ! あー、わたしもフランス人になりたい。

 して次はフィンランド。ここは学力世界一の国である。その秘密は何か!! まあ、このへんまでは面白かったのだが、次のスロベニアあたりから退屈して、ドイツではちょっと持ち直したけれど、ついにポルトガルではぼーっとし始め、ノルウェーは完全爆睡。チュニジアもまったくあちらの世界にいたのでなんでマイケル・ムーアに侵略されたのか不明。やっと最後のアイスランドで目が覚めたけれど、これ、長いわ。話が単調なので飽きてくるではないか。一つずつのケースはそれぞれ、ヨーロッパや北アフリカの魅力的な社会や制度について描かれているんだけれど、アメリカだって他の国から見たら羨ましがられているんじゃないの?

 最初のイタリアにしたって、失業率の高さは有名だし、フランスはしょっちゅうストライキが起きているし、ドイツの移民問題は深刻だし。世の中、いいことばかりじゃないんだよ。どの国も光と影があるんだから、そこは公平に見なくちゃ。とは言いながら、やはり日本がお手本にすべき国がアメリカなのかヨーロッパ型の社会民主主義なのかは明らかだろう。

 全編ポップな音楽とアニメのような目まぐるしい編集画面と皮肉と笑いに包まれた、相変わらずのマイケル・ムーア節がはじけている。社会制度について真面目に考察するには情報が不足しているけれど、わたしにはアメリカ型の貧富の格差が激しいアグレッシブな資本主義がいいとは全く思えないので、彼に侵略された国々の人々のように生きたい。日本も侵略してもらえるように頑張ろう。

WHERE TO INVADE NEXT
119分、アメリカ、2015 
製作・監督・脚本: マイケル・ムーア、製作総指揮: マーク・シャピロほか
出演: マイケル・ムーア