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吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

がんばっぺ フラガール! ~フクシマに生きる彼女たちのいま~

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機関紙編集者クラブ『編集サービス』紙に掲載した映画評のうち、自分のブログにアップしていなかった作品をさらえていくシリーズ」第4弾。

 

 この映画は2013年の3月に、学生時代からの友人と女三人「復興支援福島物見遊山2泊の旅」に出かけることになった時に予習のために見たもの。

 「あなたはしょっちゅうボランティアに行ってるけど、わたしたちって旅行してお金落とすぐらいのことしかできないから、福島へ行こう。ついでにあなたは忙しすぎるからちょっとのんびりしたら」と誘われたので、行くことに。でも3人の予定が合う日がなかなかなくて、結局決めた日程だと最終日はわたしは朝一番の特急に乗って戻ってこないと15時からの会議に間に合わないという相変わらずの慌しさ。はうー。でも、宿代は次男が出してくれたので助かった。いい息子だわ。交通費はけちって、わたしだけ行きは夜行バスにした。

 で、どこに行くかとさんざん議論した結果は、観光客が激減して困っているらしい「スパリゾートハワイアンズ」に決まり。なんと、東京から往復無料送迎バスが出ている。信じられないよ~。よほど困っているのだろうなぁ、気の毒に。

 映画「フラガール」(二〇〇六年)で有名になった福島県いわき市スパリゾートハワイアンズは、東日本大震災で大きな被害を受けた。この映画は、営業不能になったハワイアンズフラガール達が「全国きずなキャンペーン」を敢行した様子を描いたドキュメンタリーである。

 スパリゾートハワイアンズは建物に被害を受けたため営業再開まで半年ほどかかり、さらに原発事故の風評被害に苦しんだ(福島第一原発からの距離は約50キロ)。開業以来の危機に陥ったフラガールたちは、開業前に行って以来の全国キャラバンを復活させた。このキャラバンは、映画「フラガール」で描かれた、創業時の苦労場面を思い出させる。

 このドキュメンタリーではスパリゾートの様子が映るだけではなく、原発立地の町から避難民が移ってきた様子や、双葉町出身のフラガールが防護服を着て自宅に一時帰宅する様子など、被害の色濃い原発事故の傷跡も伝える。震災後、営業不能となったスパリゾートは避難所として広野町の避難住民を受け入れた。このときのスパリゾート側の至れり尽くせりの歓待に、広野町住民が感謝を込めて退去の際に芝生の雑草刈をする姿が感動的だ。

 仕事を失いかけた人々が懸命に復興に立ち上がる姿は感動的だし、勇気を与えてもらえる。あちらは天災(プラス人災)、こちらは人災だけれど、こういう話は他人事とは思えず、ついほろりときてしまう。自分達が頑張る。そして、支えあう。常に贈与を考える。困っているときほど他者のために尽くそう。難しいけれど、これを忘れなければきっとなんとかなる(と思いたい)。

 DVDならではの特典映像もついていて、こちらも必見。映画公開後半年たったスパリゾートを撮影隊が再訪した映像も面白い。「映画が公開されて何が変わりましたか?」「名前が知られてしまって、なにかあったときに○○を出せ~!って電話がかかってきます」と頭をかく総支配人。

 この映画を見ていわき市に行ってからすでに3年近くが経つ。今はどうなっているのだろう。(レンタルDVD)

102分,日本、2011
監督:小林正樹
撮影:吉田誠
音楽:ジェイク・シマブクロ
ナレーション:蒼井優