吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

親愛なるきみへ

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 チャニング・テイタム祭り、続いては彼の本領発揮の純愛もの。 

 まるで絵に描いたような青春恋愛もの。バカバカしいくらいに「純愛」なんだ。こんなのを見て感動しているおばさんはなかなかいないのでは、と自分に感動した作品であった(笑)。


 出会ってたちまち恋に落ちた若い二人が、兵役と学業によって離れ離れになってしまう。1年後に会えるから、と再会を楽しみに二人が遠距離恋愛をつむいでいく手段は手紙。いまどき手紙なんて! と思うけれど、陸軍の特殊部隊にいるジョン(チャニング・テイタム)には手紙しかやりとりする方法がないのだ。やっと1年が過ぎるころ、なんと9.11のテロが起きて、ジョンは本心ではないながらも兵役延長を志願することになる。ジョンの決意を知って悲嘆にくれるサヴァナだけれど、あと2年、彼の帰りを待つことになった。しかし、ある日ジョンの元に届いた手紙には別れの言葉が書かれていた、、、、

 離れていても、同じ大きさの月を見ているんだ、と手紙に書く二人。その純朴さといじらしさにうるうるできる人は心が清いです(きっぱり)。愛をはぐくんだ短い時間を何倍にも素晴しいものにするために、二人は言葉を紡ぐ。愛の言葉を書き留めて、手紙は何度も往復する。「言葉の持つ力」をこの映画は映像によって描く。いかにも小説が原作になっている映画らしい作品だ。

 不器用な人たちが次々に登場する。愛し合いながら、その気持ちがすれ違う。恋人どうしも、父と息子も。苦しくつらい心の絆を断ち切ってはまた繋ぐ、繋いではまた切れる。愛はままならないもの。遠く離れた二人は永遠の絆を紡ぐことができないのか。距離と時間が二人を離してしまう。 

 この映画では、恋愛にとって桎梏となるものとして9.11のテロも兵役も自閉症も同じ地平に置かれている。恋人たちは試されている。運命と、犠牲と、責任によって断ち切られた絆が本物なのかどうかを。

 冒頭の黄金の瀧のようなコインの流れが、重要な意味を持って後半に生きてくる展開は見事。原作と違う結末だという。恋したことのある人なら、自分の経験に重ねてみてしまうだろう切ない映画だった。原作と違ってハッピーエンドに持ってきたのは興行的には正解。(レンタルDVD)

DEAR JOHN
108分、アメリカ、2010 
監督: ラッセ・ハルストレム、製作: マーティ・ボーウェンほか、原作: ニコラス・スパークス 『きみを想う夜空に』、脚本: ジェイミー・リンデン、音楽: デボラ・ルーリー
出演: チャニング・テイタムアマンダ・サイフリッド、ヘンリー・トーマス、スコット・ポーター